期待した私がバカでした

digital.asahi.com

無料部分を読んでついに「土用の丑」について批判的なキャンペーンが行われているのか、とワクワクしながら続きを読みました。

 市によると、返礼品の内訳は、「ウナギ」が68%だったの対し、「牛肉」は7%。「ウナギのかば焼き」が寄付金額を押し上げているという。ふるさと納税サイト「ふるなび」でも、今月9日までの1カ月間のランキングで全国2位となる人気だ。

 一方で、高い人気は悩みの種でもある。毎年「土用の丑」の直前に、ウナギのかば焼きを返礼品とする申し込みが集中。生産と配送が追いつかず、例年、締め切りを早く設定せざるを得ないのだという。担当者は「私たちにとって、まさに『土用の丑の日問題』でした」と語る。

資源保護という視点は欠片もなく、単に注文が殺到するのでさばくのが大変というだけの話でした。勝手にせいや

 

こんどはイイダコが

金曜日

onl.sc魚拓

香川県内海域でのイイダコの漁獲量が20年で100分の1になったという報道です。言われてみれば最近めっきり買って料理する機会が減りました。店頭で見かけること自体が減っていたようです。瀬戸内海を挟んだ兵庫県の海域での漁獲量は? と調べてみると、一昨年の記事ですがやはり近年漁獲量は減少気味とのことです。

水産資源の枯渇という問題については当然ながらまずは漁業者や水産庁の認識が問題視されねばなりませんが、大量消費の現場にいる小売店の担当者もいい加減異常に気づかないものなのでしょうか?

袴田事件再審でまた観測気球?

土曜日

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今朝の『朝日新聞』(大阪本社)でも一面トップで報じられていたニュースですが、袴田事件の再審公判で検察が有罪立証を行うのではないか、というものです。もっとも東京高裁による再審開始の決定に対しても当初特別抗告を行う方針とのリークがあり、結局特別抗告しなかったという前例があります。市民による批判の声が高まれば有罪主張を諦める可能性はあるでしょう。

本来であれば検察にはぜひ有罪主張をしてもらい、審理の過程で捜査当局による証拠の捏造を明らかにしたうえで真っ白な無罪判決が下ってほしい、と思います。しかし心ゆくまで時間をかけることができる状況ではありませんので、せめて無罪判決を袴田さん姉弟が確実に耳にできるようにしてもらいたいところです。

それにしてもこのNHKの記事はなんということでしょう。

www3.nhk.or.jp

国内政治報道において野党が与党政府を批判するとマスメディアが「野党は反発」と報じて政治を政局に矮小化してしまう問題はたびたび指摘されてきましたが、同じことがここでも繰り返されています(他には日経新聞などが「反発」という語を用いていました)。なぜ「弁護団は批判」と書けないのか。

なお、今日は袴田ひで子さんが来阪して冤罪被害に関する大阪弁護士会主催の集会に出席されてました。残念ながら都合により参加できませんでしたが。

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滝山病院関連番組

日曜日

6月27日の「クローズアップ現代」枠で放送された「精神科病院でなにが…追跡・滝山病院事件」を見ました。

www.nhk.jp

すでに今年の4月にETV特集で「ルポ 死亡退院〜精神医療・闇の実態」(こちらも録画して視聴しました)としてとりあげられていた東京・滝沢病院についての続報です。

www.nhk.jp

6月30日にはEテレの「バリバラ」でも「どうする?精神医療〜滝山病院事件から考える」としてとりあげられていました(7月4日に再放送予定ですが、私はNHKプラスで見ました)。

日本の精神科病棟が抱えている問題が指摘されるのはこれが初めてではなく、類型としては目新しいものではありませんが、「クローズアップ現代」にゲストとして出演した都立松沢病院の齋藤正彦名誉院長のコメントで「なるほど」と思った点がありました。病院を監査する立場にある東京都が取材に答え、担当課長が「虐待を立証しなければいけないんです、行政としては」などと発言していた点に関して、「立証できませんでした、って都庁の方は仰ってたけど、警察じゃないんだから立証する必要はないんで。行って圧力をかければいいんですから。入って全ての患者さんに会うというふうにすればですね、それでも十分牽制になると思います」と指摘されたのです。なるほど「立証できない」というのは強制捜査権を持たない行政機関がよく使う弁明ですし私なども「まあそういう側面はあるのだろうな」と少なくとも部分的には納得していたのですが、事後の摘発を確実に行うことだけが人権侵害防止対策ではないわけで、他の機関(齋藤名誉院長も番組で言及していた入管など)についても有益な指摘だなと思った次第です。

 

本題からはズレますが、別の文脈で“NHKで最近素材の使い回しが目立つ”という指摘を見かけたので付言。NHKは(私が把握している範囲で)一連の取材から番組を3本作り、その他ニュース番組でも取材結果を使用したと思われますが、今回のETV特集クローズアップ現代〜バリバラという流れについては好ましい“使い回し”ではないかと思います。総合テレビのゴールデンタイムで関心を集めやすいクローズアップ現代、長い尺をとることができるETV特集、福祉や差別に関心のある視聴者が見る可能性の高いバリバラ、それぞれ異なるクラスタに訴求できるわけですから、短期間に広く市民の関心を集めようとするキャンペーン報道においては有効なやり方だと思いました。

大崎事件第4次再審請求、弁護側が特別抗告

水曜日

さる6月5日、福岡高裁宮崎支部は大崎事件の第4次再審請求即時抗告審で再審開始を認めない決定を下しました。

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この決定については弁護側はもちろん、『東京新聞』の社説などが批判しています。

www.tokyo-np.co.jp

弁護団の反応についてはフジテレビ系列のニュースが弁護団の泉武臣弁護士のコメントを交えて要点をまとめて報じています。

www.fnn.jp

そもそもこの事件に関しては過去に計3度裁判所が再審開始の決定を下しており、その度に検察側の抗告でひっくり返ってきた経緯があります。これだけでも“疑わしきは再審請求人の有利に”で再審開始を指示する十分な理由になるはずです。

そして宮崎支部が依拠した“共犯者の自白”に関しては複数のメディアが被害者の次兄とその息子の肉声(40年近く前に録音されたもの)を公開しています。

news.ntv.co.jp

www.nishinippon.co.jp

そして12日、弁護側は最高裁に特別抗告を行いました。

第3次再審請求では地裁と高裁が続けて認めた再審開始を覆した最高裁が今度は正義にかなった判断を下すのでしょうか。

飯塚事件、新たな目撃者が証言

木曜日

飯塚事件にはいわゆる「自白」はありませんが、冤罪(疑惑)事件全般に「自白の研究」タグを用いています)

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予定されていたことではありますが、飯塚事件の再審請求審で、弁護側の「新証拠」となる証言がなされました。元死刑囚とは大きく異なる風貌の男性が被害女児に似た2人を乗せた車を運転しているのを目撃した、というものです。

目撃者は翌日には警察に通報、およそ一週間後に事情聴取も受けているとのことで(こちらを参照)、対応する記録が警察にも残っていれば証言の証明力を否定するのは容易ではないはずですが、はたして裁判所の判断はどうなるでしょうか。

『被差別部落に生まれて』

火曜日

-黒川みどり『被差別部落に生まれて 石川一雄が語る狭山事件』、岩波書店、2023年5月

www.iwanami.co.jp

近代部落史の専門家による「狭山事件」論の試み。とはいっても本書ではあらためて狭山事件が冤罪であることを証明しようとする努力がなされているわけではない。石川一雄さんへの聞き取り(ただし聞き取りにあたっては、古くからの支援者で部落解放同盟埼玉県連合会執行委員長の片岡明幸氏らが協力した旨が記されている)と闘争運動の中で石川さん本人が綴った言葉をもとに、冤罪がつくられてゆく過程、支援運動が広がってゆく過程、仮出獄後の生活などが石川さんの生活史とともに明らかにされる。これは部落差別こそが狭山事件の本質であるとする著者の認識の反映である。さらに著者は、狭山事件闘争が部落解放闘争として闘われてきたがゆえに狭山事件への関心や理解が妨げられた面があることを指摘し、そうした無関心や無理解の克服は“私たち”の課題であることを説く。「英雄視」されることをどう受け止めようとするかについての石川さんの語りも興味深い。

とりわけこれまで部落差別にはあまり関心がなかったという人々にもひろく読まれてほしい。