滝山病院関連番組

日曜日

6月27日の「クローズアップ現代」枠で放送された「精神科病院でなにが…追跡・滝山病院事件」を見ました。

www.nhk.jp

すでに今年の4月にETV特集で「ルポ 死亡退院〜精神医療・闇の実態」(こちらも録画して視聴しました)としてとりあげられていた東京・滝沢病院についての続報です。

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6月30日にはEテレの「バリバラ」でも「どうする?精神医療〜滝山病院事件から考える」としてとりあげられていました(7月4日に再放送予定ですが、私はNHKプラスで見ました)。

日本の精神科病棟が抱えている問題が指摘されるのはこれが初めてではなく、類型としては目新しいものではありませんが、「クローズアップ現代」にゲストとして出演した都立松沢病院の齋藤正彦名誉院長のコメントで「なるほど」と思った点がありました。病院を監査する立場にある東京都が取材に答え、担当課長が「虐待を立証しなければいけないんです、行政としては」などと発言していた点に関して、「立証できませんでした、って都庁の方は仰ってたけど、警察じゃないんだから立証する必要はないんで。行って圧力をかければいいんですから。入って全ての患者さんに会うというふうにすればですね、それでも十分牽制になると思います」と指摘されたのです。なるほど「立証できない」というのは強制捜査権を持たない行政機関がよく使う弁明ですし私なども「まあそういう側面はあるのだろうな」と少なくとも部分的には納得していたのですが、事後の摘発を確実に行うことだけが人権侵害防止対策ではないわけで、他の機関(齋藤名誉院長も番組で言及していた入管など)についても有益な指摘だなと思った次第です。

 

本題からはズレますが、別の文脈で“NHKで最近素材の使い回しが目立つ”という指摘を見かけたので付言。NHKは(私が把握している範囲で)一連の取材から番組を3本作り、その他ニュース番組でも取材結果を使用したと思われますが、今回のETV特集クローズアップ現代〜バリバラという流れについては好ましい“使い回し”ではないかと思います。総合テレビのゴールデンタイムで関心を集めやすいクローズアップ現代、長い尺をとることができるETV特集、福祉や差別に関心のある視聴者が見る可能性の高いバリバラ、それぞれ異なるクラスタに訴求できるわけですから、短期間に広く市民の関心を集めようとするキャンペーン報道においては有効なやり方だと思いました。