飯塚事件、第二次再審請求

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日曜日

飯塚事件では「自白」はありませんが、冤罪事件/冤罪疑惑事件を扱う記事には「自白の研究」タグを用いています。)

-朝日新聞DIGITAL 2021年7月9日 「飯塚事件」2度目の再審請求申し立て 「新証拠ある」(アーカイブ

digital.asahi.com

確定判決の事実認定とは矛盾する目撃証言を新証拠とした、とのことですがこの記事ではどのような経緯でその証言が得られたのかは明らかではありません。

-西日本新聞 2021年7月10日 新たな目撃証言「別人の車に2女児」 飯塚事件、2度目の再審請求(アーカイブ

こちらの記事によれば、目撃証言の主は事件発生翌日に警察に通報、「約1週間後に警察官に事情を話したが、聴取はその1度きりで供述調書は作成されなかった」とのこと。「記者会見」も行ったとされていますので、今年4月に第一次再審請求が棄却されたのを機に弁護団にコンタクトを取ったのかもしれません。詳細が判明したらまた追記いたします。

 

姫路郵便強盗事件、再審開始ならず

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木曜日

(一貫して自白のない事件ですが、冤罪および再審に関する情報全般を扱うためのタグとして「自白の研究」を用いています。)

-MBS 2021年7月1日 20年前の郵便局強盗事件 ナイジェリア人男性の再審請求を『認めず』 大阪高裁(アーカイブ

www.mbs.jp

本ブログでは以下でとりあげたことのある冤罪疑惑事件です。

来年こそは再審の扉が開きますように

姫路郵便局強盗事件も再審請求却下

姫路郵便局強盗事件の再審請求で新たな動き

 

袴田事件支援集会、弁護団が「期待」

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月曜日

昨日、6月27日に袴田事件の支援集会が静岡市で開かれたとのことです。

www.at-s.com

最高裁の差し戻し決定については「なんとか最悪の事態だけは回避できた」ということだろうと思っていたのですが、記事によれば「5点の衣類」について「事件直後に(衣類が)入れられたと認定する証拠がないことを認めた」とのこと。ならば差し戻しではなく再審開始決定を出してくれよ……と思いますが。ともあれ、弁護団の「期待」が裏切られないことを祈ります。

否認事件の被害者参加制度

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火曜日

Jアノンとしても知られる加藤「陰部論」清隆氏が意味不明なツイートをしていました。

 「遺族の情に寄り添えば」は、被告人の主張に従えば一種の虚偽自白の動機について述べたものであり、法廷での供述の動機じゃありません。捜査段階の供述を覆して否認に転じているのですから、現在では「遺族の情に寄り添」うことより無罪主張を優先させたということであり、「完全否定が遺族の情に寄り添うことになる」などという馬鹿げた主張は加藤氏の脳内にしかない陰部論もいいところです。

この事件、私も被告人の主張に説得力があると考えているわけではありませんが、「刑が軽くなる」と自白を持ちかけるのは取調官の常套手段ですから、捜査段階で踏み間違いの可能性を認めた理由についての説明としては頭から否定することも難しいでしょう。

裁判では遺族が被害者参加制度を利用して直接被告人に質問したと報じられていますが(例えばこちら)、否認事件で被害者参加制度を利用することの難しさを考えさせられました。

 これに対し、松永さんはドライブレコーダーなど物証との矛盾を感じ「罪に、命に向き合ってほしいという遺族の思いすら叶っていない」と思った。飯塚被告の姿勢は今後も変わらないのではないか、とも感じ「絶望してしまった」。直後の記者会見では「アクセルペダルの目視は(時速)80キロで走っていたら1秒もない」と説明を疑問視。飯塚被告の追悼の言葉も「軽い言葉はいらない」と拒絶した。

制度がある以上遺族にはそれを利用する権利がありますが、否認事件なのですから、被告人は“反省”することはできないわけです。遺族にとって残念な結果にしかならないことは予想可能でした。遺族の言葉に打たれて被告人が“真実を語る”のが理想的な展開なのでしょうが、そういう心理的プレッシャーは(この事件はともかく一般論として)無実のひとに自白させてしまう可能性もあります。反省や謝罪のプロセスは有罪が確定してから始まるもの、という認識に立って被害者・被害者遺族支援のあり方を考える方がよいのではないでしょうか。

『雪ぐ人』

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火曜日

NHK総合の「ブレイブ 勇敢なる者」で2016年11月28日に放送された「えん罪弁護士」が2018年にNHK出版から書籍化された後、今年5月に新潮文庫に(解説:清水潔)。

今村弁護士のスタイルは「疑わしきは被告人の利益に」という原則の主張にとどまらず積極的に無罪の証明に挑むというもの。

「こと、冤罪事件に関しては、実は雑学がすごく重要なんです。言い換えれば、科学的知識。これが不可欠で、僕は独学で勉強しましたけど、全然、知識としては足りない。供述や物証の評価とか、心理学とか、ありとあらゆる科学分野の知識がもっと必要だし、何よりものの見方が科学的じゃないと行けないので」(184ページ、原文のルビを省略)

なるほど突破すべき問題点さえ明確になれば専門家の協力を仰ぐことも出来るが、その突破口は弁護人が見つけるしかないわけである。

リコール署名偽造、同じ容疑で再逮捕?

「表現の不自由展・その後」へのバックラッシュに端を発したリコール署名偽造事件で、すでに逮捕されていた4人の被疑者が再逮捕されたとのことです。

www.yomiuri.co.jp

上記記事のアーカイブ

組織的な犯行、しかも家族ぐるみでの……となれば「口裏あわせ」を防ぐための逮捕は必要性があったと言えるでしょうが、最初の逮捕時の記事(例えば https://archive.is/Bp5yz )と比較しても逮捕容疑の違いがよくわかりません。5月の東京新聞記事では「昨年10月下旬ごろ、県外でアルバイトを動員し、県知事リコールの署名を偽造したとされる」地方自治法違反容疑、6月8日の読売新聞記事では「昨年10月下旬、佐賀市内でアルバイトに指示し、有権者の氏名をリコール運動の署名簿に書き写させ、偽造」というやはり地方自治法容疑。まさか最初の逮捕では「県外」とボカしていた容疑を「佐賀市内」と特定することで再逮捕したのでしょうか? しかし署名偽造のためのバイトが佐賀市内で募集されていたことは最初の逮捕に先立って報道されていました(例えば これ )。勾留期間を引き伸ばすための再逮捕についてまるで無批判であることが日本のマスコミの事件報道の問題点であることは、この事件には限らないのですが。

 

講談社編集者、支援者の主張

講談社の元編集次長が妻を殺害したとして起訴されていた事件、高裁でも有罪になっていたというニュースを見落としておりました。

「元編集次長」と書きましたが、実は社は被告人を休職扱いにしており、「元社員」ではないのだそうです。

www.dailyshincho.jp

先日、被告人を支援する親族、友人たちの会が有罪判決についての疑問点を述べるとともに署名を募る note を公開しています。私個人はまだ詳しく検討することができていませんが、高裁判決が一審判決について「〔自殺の可能性の排除にあたり〕十分な検討を欠いており不合理」と指摘していることを考えると、少なくとも判決に無理がないかを検討してみる価値はありそうに思います。