名張毒ぶどう酒事件で証拠の再鑑定に許可

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金曜日

-日本経済新聞 2020年9月11日 名古屋高裁が再鑑定許可 名張毒ぶどう酒事件アーカイブ

三重県名張市で1961年、懇親会でぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡するなどした名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求の異議審で、名古屋高裁が、ぶどう酒の王冠と瓶をつなぐように貼られた封かん紙の紙片の再鑑定を許可していたことが11日、分かった。奥西勝元死刑囚の弁護団が明らかにした。
弁護団は8月から再鑑定を始めており、終了し次第、新たな証拠として提出する方針。

「自白」によれば奥西元死刑囚が王冠を開ける際に剥がしたとされるこの封かん紙については、今年の6月に事件直後の住民の供述調書が開示されています。

 

松橋事件で国賠訴訟提起

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月曜日

昨年再審無罪が確定した松橋事件の冤罪被害者が国と熊本県を相手どり国家賠償訴訟を提起した、とのニュースです。

-朝日新聞DIGITAL 2020年9月17日 「松橋事件」で再審無罪確定の男性、国と熊本県を提訴アーカイブ

この事件でも、自白によれば犯行後に燃やされていたはずのシャツを検察が隠していたという「証拠隠し」が明らかになっており、原告は取り調べの違法性を訴えるようです。おそらく国と県は裁判をさっさと終わらせて捜査の問題点に関する審理を深めさせまいとするでしょうが、裁判所の訴訟指揮が注目されます。

 

鹿児島地検検事正が妄言

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金曜日

-NHK NEWS WEB 2020年9月16日 「新検事正が大崎事件に異例の言及」(アーカイブ

鹿児島地検に着任した検事正が記者会見で大崎事件をめぐる報道に言及した、というニュースです。

内藤検事正は「第3次請求についてはよく知っており、請求を棄却した最高裁の決定は非常に重く受け止めている」と述べました。

そのうえで「第4次請求では報道側の原口さんへの寄り添いが顕著になっているが、万が一、原口さんが犯人ではないということを証明するあまりに、具体的にこの人が犯人だといった報道をされると大変な人権侵害になる」などと述べました。

 もちろんマスメディアが勝手に“真犯人”探しなど始めれば、人権侵害になる恐れはあります。しかし個別の刑事事件について報道機関が調査報道をするのは市民の「知る権利」にも資することであり、人権侵害が生じる具体的な恐れもないのに検察関係者がこのような発言を行うことは、逆にメディアの「言論の自由」への侵害になりかねません。なにより、私が承知している限り、大崎事件再審請求についての踏み込んだ報道は「事件ではなく事故だったのではないか」という視点からなされており、この発言は言いがかりといってよいのではないでしょうか。

当然ながら、大崎事件の弁護団はこの発言を批判しています。

-NHK NEWS WEB 2020年9月17日 「検事正発言 大崎事件弁護団批判」(アーカイブ

記事の結びは次のようになっています。

大崎事件をめぐっては、弁護団が死亡原因は自転車の事故だったと結論づける新証拠を提出していて、裁判所などが弁護団の主張を確かめるため、現場を訪れる考えを明らかにしています。

弁護団事務局長の鴨志田裕美弁護士は次のようにツイートしています。

 

 

時事通信「 朝鮮人虐殺から97年、記憶の継承に妨害も」

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月曜日

関東大震災時の朝鮮人虐殺とその記憶の継承について、時事通信がそこそこ踏み込んだ記事を発信していましたのでご紹介します。

-47NEWS 2020年9月14日 「朝鮮人虐殺から97年、記憶の継承の妨害も 関東大震災直後、官憲の隠蔽で全貌見えず」(アーカイブ

まず見出しにもあるように、政府の隠蔽工作に触れている点。犠牲者数は歴史修正主義者が攻撃ポイントとして選ぶ定番ですが、日本政府による隠蔽が犠牲者数を明らかにするうえでの大きな障害である、という点は決定的に重要です。

また「そよ風」という団体名を明記して歴史修正主義者の活動を報じている点。欲を言えばこの団体が群馬県の県立公園に設置されていた朝鮮人追悼碑への攻撃も行ってきたことにも触れてほしかったですが。

「雪冤」「わたしはやっていない 村木厚子 無罪までの454日」

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金曜日

-NHK Eテレ 2020年7月18日 ETV特集雪冤〜ひで子と早智子の歳月〜

ディレクターは『獄友』の金聖雄監督。『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』では石川一雄さんと早智子さんの戦いを、『袴田巖 夢の間の世の中』では袴田秀子さんと巌さんの戦いを描いてきた金監督が秀子さんと早智子さんに焦点をあてたドキュメンタリー。確かに、このお二人の人生はそれ自体ドキュメンタリーの題材となるに値するものだろう。

-NHK BSプレミアム 2020年8月4日 アナザーストーリーズ「わたしはやっていない 村木厚子 無罪までの454日

やはり一番の見所は、被告人の村木氏本人がフロッピーディスクのプロパティと検察の筋書きの矛盾に気づいた時の回想。村木氏が例外的が自己な防衛能力を備えた被疑者・被告人だったからこその無罪判決だった、ということがよくわかる。

 

 

『サンデー毎日』「凶器のクリ小刀は売られていなかった」

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日曜日

新型コロナ禍で図書館が利用できない期間が続いたためもう3ヶ月も前のことになってしまいましたが、『サンデー毎日』の5月10・17日号が袴田事件に関する記事を掲載しています。凶器とされたクリ小刀についての新事実です。

クリ小刀については、公判での刃物商の証言が検察に誘導されたものである可能性がこれまでも指摘されていました。今回報じられたのは、当時店を手伝っていた刃物商夫妻の長男が「最近気づいた」として証言していることです。確定判決では凶器は刃渡り12センチのクリ小刀であると事実認定されています。しかし当時店で扱っていたのは刃渡り13.5センチのものだけだった、というのです。店主は第一審の公判で証人となっていますが、記事は店で扱っていたクリ小刀について「長さが135ミリ」だとする法廷での供述を引用しています。

ご承知の通り、袴田事件の再審は現在弁護側の特別抗告に対する裁判所の決定が下るのを待っている段階です。記事ではこの証言の扱いに関する弁護団の方針を伝えていませんが、裁判所が常識的な判断をすればこれは再審開始の十分な理由になるはずです。長男の証言は父親の公判での証言と符合しており、半世紀前のことについてとはいえ信用性を認めることができます。

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サンデー毎日』2020年5月10・17日号

 

「消えた“駿河湾の宝石”ー明日へつむぐ船ー」

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月曜日

テレビ静岡制作、地元では5月に放送された「FNS ドキュメンタリー」の「消えた“駿河湾の宝石”ー明日へつむぐ船ー」が関西テレビで今朝未明に放送されていたのを録画。

急激な資源量減少の理由として乱獲以外に「黒潮の流れの変化」と「餌となるプランクトンの生育不良」が指摘される。ウナギやサンマ、イカナゴなどについても複数の要因が指摘されるし実際そうなのだろうが、どうしても「乱獲」という事実を覆い隠す煙幕として機能するように思えてならない。もっとも、他の要因にしたところで(地球温暖化による海水温の上昇や河川環境の変化など)結局は人間の経済活動に根があることが多いのだけれど。

不漁は漁業者だけでなく関連産業や地域社会にも影響する。しかし地元の市場でやっているのが“週に一度の詰め放題”だというのにまず絶望。

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数を売ろうとしてどうする。付加価値を高めることを考えないと。

もちろん乱獲対策をまったくとっていないわけではなく、海域を分け産卵する海域では禁漁としたりもしている。しかし今年の春漁期では昨秋より禁漁区を狭めたー拡げた、ではなくーと聞いてまた絶望。

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個人の特定を避けるため、画面の一部をトリミングしてある。

この番組で初めて知ったのは、桜えびというのが非常に新しい食材だということ。発見されてまだ100年ちょっとだという。

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スピード絶滅記録達成、などということにならないことを祈る。