『サンデー毎日』「凶器のクリ小刀は売られていなかった」

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日曜日

新型コロナ禍で図書館が利用できない期間が続いたためもう3ヶ月も前のことになってしまいましたが、『サンデー毎日』の5月10・17日号が袴田事件に関する記事を掲載しています。凶器とされたクリ小刀についての新事実です。

クリ小刀については、公判での刃物商の証言が検察に誘導されたものである可能性がこれまでも指摘されていました。今回報じられたのは、当時店を手伝っていた刃物商夫妻の長男が「最近気づいた」として証言していることです。確定判決では凶器は刃渡り12センチのクリ小刀であると事実認定されています。しかし当時店で扱っていたのは刃渡り13.5センチのものだけだった、というのです。店主は第一審の公判で証人となっていますが、記事は店で扱っていたクリ小刀について「長さが135ミリ」だとする法廷での供述を引用しています。

ご承知の通り、袴田事件の再審は現在弁護側の特別抗告に対する裁判所の決定が下るのを待っている段階です。記事ではこの証言の扱いに関する弁護団の方針を伝えていませんが、裁判所が常識的な判断をすればこれは再審開始の十分な理由になるはずです。長男の証言は父親の公判での証言と符合しており、半世紀前のことについてとはいえ信用性を認めることができます。

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サンデー毎日』2020年5月10・17日号