先週末に SNS を中心に「検察庁法改正案」に対する異議申し立ての声があがり、新聞やテレビもとりあげる事態になったことはみなさんご存知のとおりです。黒川東京高検検事長の定年を脱法的に延長した際にはこれほどの批判は沸き起こらなかったことを考えると、「あのときにこのうねりがあれば……」という思いもありますが、「限定された世帯に30万円給付」という当初の案が世論の反発を受けて「一律10万円給付」に変わったことで、“学習性無力症”を脱することができたということなのかもしれません。
さてそうなると、これまでもあらゆる詭弁を弄して安倍政権を擁護してきた人々の反応が興味を惹くところです。
菊地誠氏は
検察庁法改正案に反対するのはもちろん構わないのだけど、その法案のどこが問題だと考えて反対するのかは、少なくとも自分の中でははっきりさせておいたほうがいいと思います。
— kikumaco(6/13ビッグアップル) (@kikumaco) 2020年5月10日
令和4年度施行予定の法案なので、黒川氏の定年延長問題とは直接には関係しないことは知っておきましょう
という冷笑しぐさを決めていましたが、それでも法案に問題があることは渋々認めています。
この件はこれで最後にしようと思いますが
— kikumaco(6/13ビッグアップル) (@kikumaco) 2020年5月10日
1. 黒川氏の定年延長は違法ではないとしても脱法的で、政府はこういうことをするべきではない
2. 検察庁法改正はそれとは無関係
3. 検察庁法改正案は、内閣の意向で検事長の役職定年を延長できる規定がよくないように思える
以上
なぜ「渋々」だと判断したかというと、こんなツイートもしているからです。
まあ、これまでの経験ではそうなる https://t.co/ZLEn18YPtp
— kikumaco(6/13ビッグアップル) (@kikumaco) 2020年5月10日
安倍政権に「普通に謙抑的に運用」なんてことが期待できないのは、まさに黒川検事長の定年延長で明らかなわけですが。
安倍政権親衛隊の代表格、三浦瑠麗氏は“煙幕”をはる戦術に出ました。
検察官だけ別扱いすべき、という意見もあるようですが、検察官の定年が短いと、試験エリートが一番有利なシステムになります。司法試験に一番早く受かり、脇道を経験せずまっしぐらに主要ポストを経験した人しか検事総長になれないということですね。
— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) 2020年5月10日
検察の無謬性神話や偏った価値観を醸成しやすい。 https://t.co/GQjqE10GNd
とはいえ、高橋洋一、門田隆将や加藤清隆の各氏のようなバンザイアタックはさすがにできなかったようで、
公務員の定年を65歳にすることの是非は別途論じたら良いと思うけれども、検察官だけ定年を短くすべきという意見が多数とは思えない。政権に対する諸々の信頼感のなさが検察庁法改正「だけ」に反対する世論をうんでいるのだけれど、ほかの公務員どうするのかまで含め論じてくださいね。#検察庁法改正
— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) 2020年5月10日
とやや歯切れが悪いです。
「へぇ」と思ったのがモトケンこと矢部善朗氏です。
改正法によると、政府(総理大臣)のお目見え麗しい検事は検事総長にしてやるぞ、という臭いがプンプンする。
— モトケン (@motoken_tw) 2020年5月10日
検察庁は他の省庁と同列に論じることはできない。
日本の行政組織の中で、唯一総理大臣の刑事責任を問い得る機関だということを忘れてはいけない。
そういう機関が政府に隷属しかねない。 https://t.co/eXQJOBJKiY
黒川検事長の定年延長には検察OBからも批判の声が上がっていましたが、ヤメ検弁護士としてやはり一連の経緯とこの法案の問題点を看過できなかったようです。
このモトケン氏のツイートで目を惹いたのがこれです。
大屋教授は、法改正の趣旨について「年金支給の基準である65歳まで雇用継続するのが目的」だと言います。https://t.co/gqXOkPgX4V
— モトケン (@motoken_tw) 2020年5月10日
しかし、検事についてはこれは当てはまりません。
すでに述べたように、現在の定年である63歳に達した検事のほとんどは、その時点で降格されることになります。(続
なんと「心の狭い学究」こと大屋雄裕氏を批判しているではありませんか! 「心の狭い学究」のこの件に関する決めツイートがこれです。
代表してこの方にご返事しますが(すいません)、黒川氏の定年延長は既存の国公法81条の3ですでに行なわれており、それが適切か・合法かはともかくこの法案とは無関係です。この法案による定年延長は2022年から始まります(成立すれば)。 https://t.co/Wb8BYODuTq
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) 2020年5月10日
よくもまあこれだけ肝心のポイントを綺麗さっぱりロンダリングした“解説”をできたものだと感心します。ほんと、首尾一貫だけはしてますね。