「心の狭い学究」健在なり!

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月曜日

先週末に SNS を中心に「検察庁法改正案」に対する異議申し立ての声があがり、新聞やテレビもとりあげる事態になったことはみなさんご存知のとおりです。黒川東京高検検事長の定年を脱法的に延長した際にはこれほどの批判は沸き起こらなかったことを考えると、「あのときにこのうねりがあれば……」という思いもありますが、「限定された世帯に30万円給付」という当初の案が世論の反発を受けて「一律10万円給付」に変わったことで、“学習性無力症”を脱することができたということなのかもしれません。

さてそうなると、これまでもあらゆる詭弁を弄して安倍政権を擁護してきた人々の反応が興味を惹くところです。

菊地誠氏は

 という冷笑しぐさを決めていましたが、それでも法案に問題があることは渋々認めています。

 なぜ「渋々」だと判断したかというと、こんなツイートもしているからです。

 安倍政権に「普通に謙抑的に運用」なんてことが期待できないのは、まさに黒川検事長の定年延長で明らかなわけですが。

安倍政権親衛隊の代表格、三浦瑠麗氏は“煙幕”をはる戦術に出ました。

 とはいえ、高橋洋一門田隆将加藤清隆の各氏のようなバンザイアタックはさすがにできなかったようで、

 とやや歯切れが悪いです。

「へぇ」と思ったのがモトケンこと矢部善朗氏です。

 黒川検事長の定年延長には検察OBからも批判の声が上がっていましたが、ヤメ検弁護士としてやはり一連の経緯とこの法案の問題点を看過できなかったようです。

このモトケン氏のツイートで目を惹いたのがこれです。

 なんと「心の狭い学究」こと大屋雄裕氏を批判しているではありませんか! 「心の狭い学究」のこの件に関する決めツイートがこれです。

 よくもまあこれだけ肝心のポイントを綺麗さっぱりロンダリングした“解説”をできたものだと感心します。ほんと、首尾一貫だけはしてますね。

「鯛は頭から腐る」を地で行く話

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水曜日

-『女性自身』 2020年4月28日 「コロナ専門家有志の会「#うちで治そう」ひっそり撤回に批判の声」

このブログで『女性自身』の記事を引用する日がやってくるとは……。もっとも、『女性自身』は2016年10月4日号が黒川開拓団“性接待”事件に関する平井美帆さんの記事を掲載した際に買ったことはあるのですが。

「発熱から4日」は自宅待機させ検査を受けさせないという、日本独自のいわゆる“4日ルール”がこれらの事態を招いているのではないかと、批判の声は高まっていたのだが……。4月22日には、専門家会議の構成員で、「有志の会」メンバーでもある日本医師会常任理事の釜萢敏氏はこう発言したのだ。

「4日間様子をみてくださいというメッセージに取られたんですが、そうではない。体調が少し悪いからといって、みなさんすぐ医療機関を受診されるわけではないので、いつもと違う症状が少なくとも4日続いた場合には、今回に関してはぜひ相談をしていただきたい、そういうことでした」

 誰がどう読んでも「嘘つくなよ!」以外の感想が出てきそうにないひどい釈明ですが、考えてみればこの社会は“誤解された”という政治家の言い訳をずっと許してきたわけです。「責任は私にある」とは度々口にしても実際に責任をとったことが一度もない頭(かしら)をいただく鯛が腐りきっているのは驚くに値しない、ということでしょう。

京都新聞:「<再審巡る法改正>整備遅れ、正義に反する」

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水曜日

湖東記念病院事件の再審無罪判決を受けて、京都新聞司法改革についての意見記事を掲載しています。論点は2つ、証拠開示と検察の抗告です。これは大崎事件弁護団の鴨志田弁護士などがかねてから主張してきたことですが、この記事では日野町事件を引き合いに出して冤罪被害者を苦しめる宿痾が指摘されています。

 36年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件の再審では、大津地検が「存在しない」と回答した未開示証拠が後に判明し、大津地裁は「本来あってはならない事態」と遺憾の意を表明。地裁は18年7月に開始を決定したが、地検の申し立てで大阪高裁での審理が続く。日野町事件の元受刑者阪原弘さんは再審請求中の11年に病死している。

 

大崎事件再審申立報告集会

明日3月30日、大崎事件の弁護団が第4次再審請求の申立をすることになっています。その報告集会が動画配信されることとなりました。

 また鴨志田弁護士のインタビュー記事が先月朝日新聞DIGITALに掲載されていたことに先日気づきましたので、この機会に紹介しておきます。

 ――再審手続きの改正を強く訴えるのはなぜですか まさに日本がいま抱える問題だと思うのです。「桜を見る会」もそう、検事長定年延長問題もそう。権力がフリーハンドになっている。昨年6月、再審開始決定を取り消した大崎事件最高裁決定もそうです。最高裁が職権で調査し、地裁、高裁が重ねた開始決定を日本の裁判史上、初めて覆した。その恐怖の正体をずっと考えていました。

 

 

大崎事件でクラウドファンディング開始

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火曜日

大崎事件・第4次再審請求のためのクラウドファンディングが始まったとのことです。

 また事件の概要、弁護団の主張を伝える動画も公開されています。

西日本新聞の連載「検証・大崎事件」については完結したタイミングで記事を書こうと思っていたのですが、今日の時点ですでに23回を数える長期連載になっています。

 

イカナゴも完全に終了か……

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土曜日

-NHK NEWS WEB 2020年3月5日 「ウナギ稚魚 漁獲量が大幅増 ことしは値下がり期待

見出しの通り、資源保護という観点は皆無の能天気記事です。「ことし1月末までで8.9トン」の水揚げがあったということですが、最盛期には(シラスウナギだけで)200トンを超えていたことを考えれば、「4月までの昨シーズンの漁獲量の3.7トンを、すでに大きく上回って」いるというのも虚しいはなしです。

さて関西在住でない方々にはあまりピンとこないかもしれませんが、シラスウナギ同様にこの数年絶不漁なのがイカナゴ(シンコ)です。

-毎日新聞 2020年3月6日 「「もう高級魚、くぎ煮作れない」イカナゴのシンコ、歴史的不漁で1キロ5000円超に

こちらも徹頭徹尾値段の心配しかしていないダメ記事です。かつては1キロあたり1,000円程度でしたから、たしかに大幅な値上がりではあります。しかしより衝撃的なのは解禁からわずか5日(大阪湾では2日)で漁が終了したことです。ざっと見た限り今季の漁獲量はまだ報じられていないようですが、過去最短での終了とのことですから、全盛期の10分の1を下回っていた過去数年をさらに下回っているのではないでしょうか。

という状況で今朝郵便受けに入っていたのがこれです。

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絶滅促進ハガキ

自宅でつくったくぎ煮を他の地域に住む親戚や友人に送ろう……というわけでタッパー容器とレターパックをセットにしたものを、この時期関西の一部地域の郵便局では売り出しているのですが、これもノルマがあるんでしょうかね? しかしイカナゴなくしてくぎ煮なし、です。

 

当ブログではもう何度も書いてきたことですが、ウナギにせよマグロにせよイカナゴにせよ、野生生物が絶滅するかもしれないという危機に対するこの無関心さは、軽く片付けることが出来ない問題であるように思います。安倍首相のあからさまな縁故主義や嘘を結局は看過してしまうことにも通じるシニシズムなんでしょうか。

ハンセン病「特別法廷」で違憲判決

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水曜日

ハンセン病患者の男性が隔離された「特別法廷」での裁判で死刑となった「菊池事件」につき、元患者6人が国に賠償請求を求めていた裁判で、熊本地裁は本日請求棄却の判決を下しました。ただし「特別法廷」での裁判が憲法違反であるとする原告の主張に関しては、これを容れた判決となりました。

-西日本新聞 2020年2月26日 「菊池事件「特別法廷」違憲の疑い ハンセン病、死刑事件巡り 熊本地裁

各社の第一報では「違憲」とする社と「違憲の疑い」とする社とがありましたが、これは「特別法廷」が「法の下の平等」については違憲、裁判公開の原則に関しては「違憲の疑い」という判決だったため、社によってどちらをとるかの判断が分かれたからのようです。

裁判の争点は2日前の西日本新聞の記事でまとめられています。

-西日本新聞 2020年2月24日 「密室法廷の違憲性言及焦点 「菊池事件」26日判決

死刑囚の遺族ではない原告への損害賠償が認められる可能性については弁護団も「ハードルは高い」(毎日新聞2020年2月24日)としており、予想された結果ではあります。

もう一つの焦点は、遺族が差別をおそれて再審請求に消極的なため検察による再審請求を求めていた点ですが、なにぶん死刑が執行しているため検察が自発的に再審請求することは期待できないでしょう。政治的決断が必要ですが、いまの法相と次期検事総長(予定者)とのコンビの下では……