証拠隠し事件で検察が無罪判決求める


(「自白の研究」タグは虚偽自白のない冤罪事件を扱ったエントリにも使用しております)
今年の2月に再審開始決定が報じられた事件です。

 強姦(ごうかん)されたという女性の訴えとは矛盾する診療記録があったのに、女性の証言をもとに起訴された男性の裁判で審理対象になっていなかったことがわかった。無罪を主張した男性の実刑判決が確定し、服役中に診療記録の存在が判明。大阪地検が昨年11月に刑の執行を停止する異例の措置につながった。大阪地裁(登石〈といし〉郁朗裁判長)は27日、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」とし、再審開始の決定を出した。
http://www.asahi.com/articles/ASH2V7311H2VPTIL017.html

昨日の再審初公判で検察が無罪を主張したため、再審無罪が事実上決まりました。ただし問題は残ります。

 男性は初公判で「(逮捕・起訴され有罪となった)過ちを解明してほしい」と主張した。弁護側は取り調べ検事らの証人尋問を求めたが、却下された。
http://mainichi.jp/select/news/20150819k0000e040216000c.html

男性の有罪・無罪には関係がないから……と言えばそれまでですが、診療記録がなぜ・どのように隠蔽されたのかはあまりにも重要な問題です。「痴漢冤罪ガー!」クラスタが大騒ぎしそうな事件のように見えますが、まともな捜査が行われていれば、あるいは証拠の全面開示が行われていればそもそも有罪判決などでなかった可能性が極めて高いわけですから。男性が国家賠償請求訴訟を起こせば関係者を法廷に引っ張り出すことはできるのですが……。