氷見事件国賠訴訟、一部勝訴

 富山県氷見市で2002年に起きた強姦事件で再審無罪となった柳原浩さん(47)が、違法な捜査で逮捕、起訴され、約2年間の服役を強いられたとして、国や県に約1億400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、富山地裁は9日、県に約1966万円を支払うよう命じた。国への請求は退けた。

 阿多麻子裁判長は判決で「取り調べで虚偽の自白を作り出すなど、警察の捜査に違法性があった」と指摘。一方、検察官による起訴については「虚偽の自白と容易に認識できたとは認められず、合理的根拠に欠けていたとは言えない」との判断を示した。

虚偽自白の強要が認定されたのはいいのですが、捜査のずさんさを見逃した検察の責任が認められなかったのは残念です。毎日新聞の記事は、捜査について次のように記しています。

 柳原さんの無罪を確定させる再審公判では、アリバイを示す通話履歴のほか、事件現場で見つかった足跡(28センチ)と柳原さんの足のサイズ(24センチ)に開きがあることなど、無実を示す証拠の存在が相次いで明らかになった。今回の裁判でも、国(検察)や富山県(県警)が開示した資料から、ずさんな捜査の一端が浮かび上がっている。

 その資料の一つに、柳原さんが当初犯人とされた二つの事件で、県警が柳原さんに被害者宅を案内させた時の状況を記した捜査報告書がある。柳原さんは、すぐに被害者宅にたどり着けなかった様子が記録されていた。原告側は「(柳原さんの)犯人性を疑うべきなのに、無視した」と主張した。