10年前の記事


6月10日放送のクロ現「水族館からイルカが消える!?〜国際批判に揺れる現場〜」(放送まるごとチェック)を見ていて、ちょうど10年前(2005年6月21日)に書いた旧ブログの記事を思い出したので、当時の文脈に依存する部分など一部を改めて再掲。二本足で立つレッサーパンダ風太くんが話題になっていた当時のことで、旭山動物園の園長が「レッサーパンダを『見せ物』にしないでね」という一文を発表した、という事態が前提になっている。


川端裕人氏が『朝日』の夕刊(注:2005年6月21日のこと)で「動物園とはなにか 正しい「見せ物」のために」と題するコラムを書いている。川端氏は動物園の新しいあり方について紹介した『動物園にできること』(文芸春秋)の著者で、とあるワークショップでプレゼンを拝見したこともある。
風太くんブームについては「生き物が見せる「可愛さ」や「擬人化要素」に反応する人々」に支えられていると分析する一方、「二〇世紀後半に世界的に標準化された動物園の理念」に言及して批判された動物園側も「基本的には旭山と同じ考えのはずだ」とかばい、旭山の主張は「正しい」としながらもその「一刀両断具合」に違和感を抱く、とする。見せ物かどうかの線引きは曖昧であり、旭山動物園の展示にも必ず「見せ物」要素はある。ならば「見せ物」を入り口にして自らの理念に人々を導く努力をすればいいじゃないか。「個体の福祉」に影響がない範囲で積極的に「立ち姿」を見せたっていいじゃないか、というわけだ。


新しい理念に世間が積極的に興味を持ってくれるという保証はないのだから利用できるものは利用したらいい、というのはまあその通りだと思うのだが、「個体の福祉」に影響がない範囲だったかというのは議論の余地のあるところだろう。ストロボ炊いての写真撮影があったりしたみたいだし。