心ある自民党員はホッとしているのでは


心ある、というより目端が利く、かな。そう、自民党の素晴らしき「逆転可能性感覚」(笑)が発揮された「やらせタウンミーティング」についての高裁判決です。

 小泉政権下の05年11月に内閣府京都市が共催したタウンミーティング(TM)への参加を不正な抽選で阻まれたとして、市民ら4人が国と市に慰謝料各200万円を求めた国家賠償訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(亀田廣美裁判長代読)は、請求を棄却した昨年12月の一審・京都地裁判決を変更。3人に対する作為的な落選を認定し、各5万円の計15万円を支払うよう命じる逆転判決を言い渡した。
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 高裁判決は、前年の京都市教委のイベントで、蒔田さんらが講演者の発言を遮ったことなどから、主催者側が混乱を懸念したと指摘。蒔田さんらの応募番号の末尾数字を落選対象にして抽選した。


 一審判決は、作為的な抽選を認めたうえで「会場の混乱を避けるという正当な目的があった」としていた。
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05年11月といえば郵政選挙で当時の与党が大勝したばかりで、かつ参議院でもまだ多数を占めていたというのに、ずいぶんと asshole が小さい真似をしたものです。もともとタウンミーティングなるものなんて「ガス抜きだろ」とか「体裁だけでしょ」と思っていた人間だって少ないなか、「広く国民の声を聞く」という「擬制」(笑)すらかなぐり捨てる結果になったわけですから。
もし高裁でも最高裁でも原告敗訴で一審判決が確定していたとしたら・・・。政府(鳩山政権)はめんどくさいことを言いそうな応募者の身辺を洗って「会場の混乱を避けるという正当な目的」につながりそうな前歴を見つけてくればいいわけです。なぁに、「混乱」といったって「講演者の発言を遮った」という程度のことで十分ですから。国会議員にだってそんな前歴の持ち主はいっぱいいます。まして政府与党に逆らう反日プロ市民のこと、叩けば埃が出るに決まってます。出てこなくても大丈夫。立たない埃を立たせるプロがいますから(匠の業をご覧ください)。かくしてタウンミーティングは和気あいあいと進行するのでした・・・。

一九四六年のシュミットにとって、トクヴィルはまさにつねに敗者の側に立ち、「偉大なヘーゲルや賢明なランケのように世界劇場の王侯専用のボックス席で神さまの隣に座ってはいなかった」がゆえに、偉大な歴史家であった。もっとも、ヒトラーのボックス席に座ってレーム粛清の虐殺を正当化した一九三四年のシュミットは別の見方をしていたのであろうが。
(ヴォルフガング・シヴェルブシュ、『敗北の文化』、法政大学出版局、3-4ページ。引用文中の注番号を省略した。)