『逃げる司法』


毎日放送で昨晩放映されていた「映像'09」の9月分、「逃げる司法」。

■逃げる司法

┗9月20日 24時50分ー25時50分
現在、この国で再審開始の決定が出ている事件が二つある。一つは最近注目を集めた足利事件。そしてもう一件は05年に再審開始が言い渡された布川事件である。どちらも検察によって 冤罪をでっち上げられ、裁判所がこれを見抜けなかった為に 無期懲役を言い渡された事件である。二つの事件に注目し、 足利事件では「冤罪を見抜けない裁判所」、布川事件では 「証拠を隠し続ける検察」の観点から日本の冤罪の構造を探る。

事実上結論が出ている足利事件ならいまやどんなヘタレでも検察・裁判所ができるというものだが(とはいえ、この期に及んで犠牲者非難をやる輩もいるのだからこの社会の闇は深い)、この番組では検察の特別抗告を最高裁が審理中の布川事件についても検察・裁判所批判のスタンスを明確にしていた。「逃げる司法」というタイトルに恥じない内容である。もっとも、足利事件はさすがにプライムタイムでも取り上げられたものの、同じように冤罪が疑われている事件について、あるいは「逃げる司法」の根本にあるというべき横浜事件についてどれだけマスメディアが取り上げてきたか? ということだって問われてよいことであるはずだが。
「自白の研究」という観点から興味深かったのは、布川事件の再審請求人の一人が取り調べで「自白」する過程について証言しているところ。取調官が無実の人間*1を誘導して、また「犯人になる」ことを決意させられた被疑者が想像力を発揮して、被害者宅の様子が供述されてゆく様子が(短い証言ながら)よくわかる。
番組の最後では飯塚事件への言及も。周知のように、死刑が執行されたのはすでに足利事件に関連して当時のDNA鑑定に問題があることがかなり知られるようになってからのことだった。当時の森法相を国会で証人喚問してもおかしくないはなしである。

*1:検察の度重なる証拠隠しに鑑み、当ブログは再審請求人が無実であるという立場にコミットする。