「袴田事件57年」

TBSが8月6日に放送した袴田事件についてのドキュメンタリーを関西ではMBSが9月17日に放送しましたので視聴しました。

www.tbs.co.jp

先日亡くなられた桜井昌司さんの追悼番組が深夜に放送されるのではないか、とこの一ヶ月アンテナをはっていたので見つけることができましたが、深夜というより明け方の午前5時からの放送でしたので危うく見落とすところでした。

大崎事件弁護団の鴨志田弁護士や14年に静岡地裁で裁判長として再審開始の決定を出した村山浩昭弁護士(現)に取材して、再審をめぐる制度的な問題点を指摘した点は、特に目新しい情報があったわけではありませんが、法改正のための世論喚起のために必要なことをきちんととりあげたと評価できます。ただ、この番組に限らず再審開始決定前後の報道全般に言えることとして、最高裁によって絞られた論点すなわち「5点の着衣の血痕の色」に疑惑が限定されてしまい、他にも多数ある捜査・裁判の問題点がスルーされがちという問題がありそうです。

たしかに再審開始の決め手になったのは「血痕の色」問題であり、また他の問題点と切り離して単独でとりあげてもわかりやすいというメリットもあるのでしょう。しかし当事者や弁護団、支援者が感じたであろう「なぜこれほど多くの問題点が看過され続けるのか?」という憤りは伝わらないのではないでしょうか。

無実が確定した折にはぜひ、冤罪としての袴田事件の全貌をとりあげる番組が制作されることを期待したいと思います。