「再審漂流」
-KKB鹿児島放送 2019年6月9日深夜 「再審漂流 証拠隠しとやまぬ抗告」
テレビ朝日系列の「テレメンタリー2019」枠で放送されたもの。大崎事件の再審請求における警察・検察の証拠隠しと、再審開始決定に対する検察の抗告をとりあげたもの。弁護団の鴨志田裕美弁護士は最高裁への特別抗告について「もうひとこと、許せない。命をかけて、一生をかけて戦って90歳になった原口アヤ子さんの人生を一体どう思ってるのか、と」コメントしていたが、まさにその通りだろう。松橋事件でも検察は特別抗告までしておきながら、いざ再審が開かれると有罪立証を放棄するという無責任極まる態度だった。元検事の山内良輝弁護士は、通常審の検察は司法機関として事実の解明と正義の実現を目標とするが、再審においては「秩序維持機関」としての性格が強く出る、とコメント。再審開始決定に対する検察の抗告を禁じる法改正は絶対に必要だが、再審請求人が高齢である場合にも検察が再審の阻止に固執する場合、法務大臣の指揮権発動も考えられるべきだろう。
この番組を見て怒りに火がつき、NNNドキュメント'14で2014年7月に放送された「陽炎 えん罪被害の闇」の録画を引っ張り出してきて観る。デタラメな捜査、「警察と裁判しているひとは雇えない」「女が好きだから警察が来たんでしょう」と被害者を追い詰める社会に改めて怒りを覚える。
氷見事件では身柄を拘束された時間は未決勾留期間をあわせても3年に満たないが、カメラは拘置所流に丁寧にシャツをたたむ姿を映している。「たかが3年」では絶対にない。