再審を空洞化させる検察の無責任さ


朝日新聞DIGITAL 2018年12月20日 松橋事件の再審、無罪確定へ 地検が有罪主張せず
松橋事件の再審において検察が有罪主張を行わない方針を明らかにし、事実上無罪が確定した、という報道です。
しかしこの再審はたった2ヶ月前、検察の特別抗告を最高裁が棄却したことで開かれることが確定したものです。それまで再審開始に反対していた検察が、いざ再審となれば有罪主張しないというのです。有罪主張ができないような事案で、特別抗告までして再審開始に抵抗するというのはいったいどういうことなのでしょうか? 真犯人だと主張できない男性に「殺人犯」の汚名をかぶせつづけることを検察は望んだということになります。また、再審請求審においては特別抗告までしておきながら再審では有罪主張すらしないということになれば、再審請求審が事実上の再審だということになってしまいます。
刑事訴訟における検察の上訴そのものにも疑義が呈されているわけですが、少なくとも再審開始の決定に対する抗告は認めないよう、法改正が必要でしょう。