供述分析に依って無罪判決が下ったケース


自白の信用性が否定され、放火殺人事件について無罪判決が下った事例が弁護士ドットコムNEWS で紹介されています。

この無罪判決には、心理学者による供述分析が一定の役割を果たしたようです。

芥川「供述心理学者の村山満明教授(大阪経済大学)に自白を鑑定してもらったのが大きかったです。具体的には、取り調べの映像(DVD)や自白調書、取り調べメモ、それから弁護人が接見の際にとっていたメモを渡し、分析してもらいました」


那須「たとえば、彼女の自白内容の変遷について、検察官は『最初は罪を軽くすべく有利になるように嘘を言い、次第に真実を打ち明けたからだ』と主張しましたが、村山教授の分析によりそうではないとわかりました。


彼女の自白はむしろ不利な内容から有利な内容に変わっていたり、部屋の電気をつけたか否かやカーテンを閉めたか否かなど罪の重さに関係ない部分も変遷していたのです。村山教授は彼女の自白の変遷を『真犯人の自白の変わり方ではない』『迷走している』と評価しましたが、判決でもそう評価してもらえました」

浜田寿美男氏が言うところの“自白が無罪を証明する”ケースだったようです。なお、この村山満明をファースト・オーサーとし、浜田寿美男氏も共著者の一人となっている論文が公開されています。