日経新聞「供述の心理鑑定 冤罪防止に重み増す」


日経新聞電子版が2018年1月28日付けで「供述の心理鑑定 冤罪防止に重み増す 論点争点 メディアと人権・法」という記事を掲載しています。
記事は浜田寿美男氏による甲山事件での目撃証言分析を「供述分析の先駆」と位置づけ、この事件では無罪判決につながったものの「その後、心理鑑定は裁判の場で正面から有効な手段と認められてこなかった」と“冬の時代”が続いたことを指摘。しかし近年になって「被告らの供述の信用性をめぐる心理学鑑定が刑事裁判の現場で存在感を増している」とし、その背景に「裁判員裁判や取り調べ過程の録音・録画制度、司法取引導入などで自白頼みの刑事司法の見直しに迫られていること」などがある、としています。
記事のなかで言及されている事例は以下の通り。
・大崎事件での大橋靖史・淑徳大教授と高木光太郎・青山学院大教授の心理鑑定。再審開始決定が心理鑑定を「職業的な経験を重ねた裁判官と、裁判員の協働の評議のための共通の土台やツールの一つとなる」と評価したことに注目。
広島地裁の殺人事件の裁判における村山満明・大阪経済大教授の鑑定書と公判証言。無罪判決。
・湖東記念病院事件の再審請求即時抗告審。脇中洋・大谷大教授の「体験に基づかない内容」という鑑定が反映され、再審開始決定に。
・東住吉女児少子事件。控訴審段階で脇中教授の鑑定意見を弁護側が提出。再審無罪判決では自白の信用性を否定。