NNNドキュメントで飯塚事件(追記あり)


飯塚事件についてはいわゆる「自白」はありませんが、冤罪事件一般を扱うタグとして「自白の研究」を用いています)
次回の「NNNドキュメント'13」で飯塚事件がとりあげられます。

1992年に福岡・飯塚市で登校中の小学1年生の女児2人が行方不明となった。2人は殺害され、翌日山の中から遺体で発見された。その後、警察は捜査線上に浮上した1人の男性を逮捕した。男性は「100%関係ない」「明らかに冤罪」と、一貫して無実を訴え続けていたが、最高裁で死刑が確定し、2008年に刑は執行された。だが翌年、男性の妻が「夫は犯人ではない」として、福岡地裁に裁判のやり直しを求めた。弁護団は無罪の理由を示す“新証拠”が存在するとして裁判所に提出。死刑執行後という異例の状況下で、はたして再審は開かれるのか…。
(http://www.ntv.co.jp/document/)


※29日追記
タイトルからもっぱらDNA型鑑定の問題に絞った内容かと予想していましたが、目撃証言についての疑義にもかなりの重点が置かれていました。「ラインはなかった」という供述についての厳島行雄・日本大学教授*1の解説―車体にラインのない車を目撃しただけの人間が自発的に「ラインはなかった」と供述するのは不自然で、被疑者の車の特徴を念頭においた捜査官の誘導がうかがわれる―は説得的で、証言の自発性には大きな疑問符がつきます。
この事件が最終的に「冤罪」として決着するかどうかとは別に、足利事件によって疑義をもたれた鑑定手法をきちんと見直すことなく死刑執行を急いだ、ということ自体が司法に対する信頼を失わせるに十分です。仮に再審開始が決まった場合には、国会が当時の法務大臣および法務省幹部の責任を追及することが不可欠でしょう。
(追記終)


なお、8月には「満州へ花嫁を送れ 女子拓務訓練所」と「伝承者 あの日を知らない語り部たち[仮題]」と題し、アジア・太平洋戦争関連の2番組が放送される予定です。

*1:共著に『目撃証言の心理学』(北大路書房)など。