金沢地検、無罪を求刑(?)
この件の続報。
- 毎日jp 2010年7月21日 「窃盗:防犯カメラ別人鑑定 無罪求刑の男性被告「無実の人巻き込むな」」(魚拓)
- asahi.com 2010年7月21日 「「防犯カメラ映像は別人」金沢地検、被告の無罪求め謝罪」(魚拓)
毎日の報道によれば石川県警は「被告が逮捕前の任意の取り調べで防犯カメラの男を、「自分に間違いありません」と話し、逮捕に至ったという経緯も明らかにした」とのこと。また次席検事が記者会見で「男性被告が「自分だ」と供述した取り調べに関して、「問題はなかった」と」語ったとのことだが、以前に引用した読売の報道によれば“被害者”男性は「(県警の調べに)写真は似ているけど自分とは違うと話した」とのことで、主張に食い違いがあるようだ。供述調書でもあるんだろうか? 具体的根拠のない推測にすぎないが、男性にしても取調べのなかで「これは自分ではない」という証明はできないわけで、気弱になった時の発言をとらえて「これは自分です」という趣旨の調書をつくっちゃった……というのが一つの可能性だろう。しかし、こうした食い違いが生じることまで含めて弁護側の「自白偏重の冤罪(えんざい)事件の構造そのもの」という批判があてはまると言えるのではないか。
一方、男性は同日の公判の最終意見陳述で「警察に連れられて写真を見せられ、『お前だろう、お前だろう』と聞かれた。身に覚えがなく、とてもつらい思いをしました」と逮捕当時の心境を語った。
朝日の報道より。取調べる側に「こいつが犯人だ」という確信があれば(そして取調官にそうした信念があってこそ自白をとることができると当事者は考えている、と浜田寿美男氏は指摘しているが)被疑者の弁解には容易なことでは耳を貸さない。写真を振りかざして自白を迫る取調官とDNA鑑定の結果を振りかざして菅家さんに自白を迫った取調官とはまったく同じことをしていたのであって、今回の場合(防犯カメラに写っているのが自分であると認めたかどうかはともかく)犯行の「自白」にまでは至らなかったが、そうなっていたとしてもなんの不思議もないのである。