世間は広い

anigoka まぁだいぶバイアスかかってるにしてもこのケーサツの対応は酷いなぁ 2010/05/11
(http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20100510)

いや、「バイアス」を計算に入れて読むならこの場合警察の対応はしごく真っ当なもんでしょ>id:anigoka
そもそも警察はある行為が犯罪であるかどうかを判断する最終的な権限を持っていないし、起訴に値するかどうかを決定する権限すらもっていない。もちろん警察に持ち込まれる事柄をすべてまともに捜査していたら警察の処理能力はパンクしちゃうから、常識に即して事件性のないものについては放置することは許容されるべきだが、他方で(自称)被害者の言い分を軽視した結果起こった桶川ストーカー殺人事件のような事例もあったわけで。この場合「必ず復讐はします」という内容のメールを送ったこと自体は jun-jun1965 も認めているわけで、とすれば警察としても刑事告発があればなにもしないわけにはいくまい。なにしろ「脅迫罪というのは(中略)五万円払わなければ何々するというもの」という jun-jun1965 の認識は刑法222条の条文を読めばただちに誤りとわかる代物だし、「殺すとか殴るとか、内容がなければならない」というのも判例に照らせば誤りである。「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知」し、かつそれが「一般に人を畏怖させるに足る性質のもの」であれば脅迫罪が成立すると考える余地はあるのだ。現に、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」といった趣旨のハガキが脅迫にあたるとした最高裁の判例もある。もちろん、これは(最高裁判決にありがちな簡潔な判決理由からはよく事情がわからないけれども、おそらくは)ヤクザかなにかの抗争の最中に送られたハガキだという文脈があってのことではあるが、告発者と被告発者の間に文脈としてどのような事情があって被告発者がどういうつもりで「必ず復讐はします」と書き送ったかなんてことは警察にしてみれば「調べてみなけりゃわからない」ことなんである。だから、刑事告発があればそのあたりを問うのは当たり前のことではないか。jun-jun1965 がその点についてどういう風に説明したのかはあのエントリからはわからないから、警察が繰り返しこの点を問いただしたことが不当だと考える根拠もないわけだ。やりとりの録音について渋ったことについて言えば、そもそも警察や検察全体が取調べの可視化に抵抗しているわけであってこの警察官固有の問題ではないし、しかもこの場合“任意の取調べなのに無理矢理録音装置をとりあげた”なんてこともなかったわけだ。