いつまで甘く見ていられるか

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091130/1259598716
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091201/1259632447
日本は定住外国人の人口比がなんといっても小さいので、在特会的な主張がそのままのかたちで広く大衆的な支持を獲得する可能性は、現時点では非常に低いと言ってよいだろう。他方で、先の総選挙で城内実小選挙区での当選を果たしたことは、選挙区の事情にもよるとはいえ在特会的な主張が必ずしも当選への障害にならないことを示してもいる。定住外国人地方参政権なり人権擁護法をめぐる議論を契機に在特会的な主張のちょっと上品なヴァージョンが少なからぬ支持を獲得する可能性は杞憂として片付けることはできない。在特会的なものと日本の右派議員とはその程度には近いのである。アパの田母神論文と多くの点で一致する主張をしている政治学者が安倍元首相のブレーンと呼ばれていたことを過小評価してはならない。
別館でとりあげた防衛大臣小池百合子陰謀論についても同じことが言える。過去にもメールマガジンで「日本解放工作要綱」に言及していたという“動かぬ証拠”も出てきたわけだが、そもそも日本の右派議員たちの歴史認識をある程度フォローしていれば、あの Twitter での投稿が本人(ないしは本人にアカウントの管理を任されたスタッフ)の投稿であることがほぼ確実である時点で、「ジョーク」と解する余地などないことがわかるはずだ*1。例えば田母神論文にも登場した「盧溝橋事件=中国共産党の陰謀」の根拠としてしばしば持ち出される文書に劉少奇の筆になるという「戦士政治課本」がある。ところがこの文書、世に出た経緯が「日本解放工作要綱」とよく似ていて、もう偽書臭プンプンのシロモノなのである。
http://www.geocities.jp/yu77799/rokoukyou/inbou1.html
これは単に認識が「間違っている」という水準ではなく、偽書とか怪文書と評されるべき文書に立脚した近現代史認識を持つほどに歪んだパースペクティヴで世界を観ている国会議員が存在する、という問題なのである。

*1:「これはジョークです」という明白なメタメッセージが伴っていないかぎり。もちろん、あのつぶやきにはそのようなメタメッセージは見当たらない。