天網恢々粗にして漏らす


昨日エントリでとりあげた日野町事件のようなケースに触れると裁判員制度にもメリットはあると思えてくる。どうせこれ以上ほとんどあがる余地がないほど有罪率は高いのだし、「無罪判決を出すと出世に響く」「検察との関係がうまくいかなくなる」といった配慮は裁判員には無縁だろうから。他方ですでに少なからぬ方がとりあげておられ、当ブログにも碧猫さんからトラックバックを送っていただいているが、実にお粗末な実態も明らかになっている。
YOMIURI ONLINE 2009年5月6日 「性犯罪被害者名も裁判員候補に開示、情報流出懸念の声」(魚拓
評議の経過や評決の票数など公の議論の対象としてもおかしくない事柄については罰則つきで公表を禁じておいて、よりにもよって被害者のプライバシーに関する配慮を欠いていたとは。最高裁が「対策の指針は示さない予定」というのもひどいはなしだが、福岡地裁の「関係者」のコメントもすごい。候補者が被害者の情報を漏らした場合「候補者に対し、被害者が損害賠償を請求するという手段は考えられる」としつつ、こう述べている。

 一方で「忙しい中、選任手続きに来た人たちに『情報を外部に明かせば訴えられる』なんて言うのは失礼かもしれない。最終的には誠心誠意お願いするしかない」と苦しい胸の内を明かす。

これじゃあ、「裁判員制度はお上が一方的に課してくる苦役」という見方を肯定するようなもんじゃないか。