『チェイサー』
- 『チェイサー』 추격자 (監督:ナ・ホンジン、出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウほか、2008年、韓国)
実際に起こった連続殺人事件を題材にしたという共通点ゆえに『殺人の追憶』と比較されることが多いようで、かく言う私もやはり比較しながら観ていて作り手も『殺人の追憶』を意識しているように感じた。で、どちらが好きかといえば圧倒的に『殺人の追憶』の方。こちらの方もそんな大きなアラがある映画ではないのだけれど。
実在の事件を扱っているとはいえ『チェイサー』の題材となった事件では犯人が判明しているのに対して『殺人の追憶』のファソン事件の方は迷宮入りになっている。この違いはどうしたって作劇に影響してくるわけだけれども、それ以上にやはり事件から映画化までに経過した時間の違いが大きいのでは。『ユナイテッド93』の時にも「早すぎるんじゃ?」と感じた(その結果、結局観に行かなかった)ように。こういった出来事をエンターテインメントの題材にすることは、その記憶と折り合いをつけるうえでポジティヴな意味をもちうる・・・とは思うけれども、もうちょっと待ってもよかったような。