『ミスト』ほか

レンタルDVDで観たもの。

劇場に観にいくつもりだった(が行きそびれた)のでネタばれっぽい情報は全てシャットアウトしていたため、比較的早い段階で霧のなかの“怪物”の姿が提示されたのにビックリ。そうか、そういう映画だったのか、と。
終末論的な説教をおっぱじめるおばさんは憎まれ役として受容されることを想定されているのだが(『映画秘宝』08年5月号でダラボン監督にインタビューしている町山智浩氏によれば、アメリカでもこのおばさんが殺されるシーンでは「観客から拍手喝采」だったそうな)、しかし実のところこの映画では、限られた情報(=五里霧中)をもとにせいぜい合理的に振る舞おうとした人間の方が結果的にひどい目にあっているところが、なんとも後味が悪い。

ラストの「ミルクセーキ」のダイアログが話題になった映画だが、全編を観てその理由がよくわかった。普通の発想ではジャンル違いの音楽の使い方で妙な緊張感を与えているため、あのシーンでは思わず笑いが弾けてしまう(物語りのオチとして考えれば本来、あまり座りがよくない結末であるはず)。指折り数えて考えればなに一つ共感できるところのないはずの主人公がそんなに悪く思えないよう、巧みにつくられている。
IMDBでは各映画で使用されている言語についての項目があるのだが、この映画にはちゃんとアメリカ手話 American Sign Language がリストアップされていた。手話を“ふつう”の自然言語と並ぶ言語として扱うという認識がきちんと定着していることがうかがえる。ふと思いだして『バベル』の項目をみてみるとちゃんと Japanese Sign Language も挙げられていた。


追記:例の "I drink your milk shake" のシーン、どうしても間寛平の「血、吸うたろか?」というギャグが思い浮かんでしまう。