袴田事件、東京高裁が再審開始の決定(21日追記)

月曜日

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朝日新聞の速報は高裁の判断の理由に触れていませんが、NHKによれば東京高裁も「5点の衣類」が捏造証拠だという可能性を指摘したようです。

問題は検察が特別抗告するかどうかです。2014年の静岡地裁の決定からすでに9年。貴重な時間が失われています。朝日の記事にはこうあります(下線は引用者)。

 今後は、検察側が特別抗告すれば再び最高裁で審理される。検察側が特別抗告を断念すれば再審開始が確定し、静岡地裁で再審公判が開かれ、袴田さんは無罪となる公算が大きい

なるほどこのブログで言及した再審事件もすべて無罪になっていますし、湖東記念病院事件のように再審での有罪主張を検察が放棄する場合もあります。事実としては、再審公判が開かれれば「無罪となる公算が大きい」のはその通りです。

しかしそのことが意味するのは、再審にさえたどり着けば無罪となる公算が大きいのに検察が再審開始に抵抗し、いたずらに審理を長期化させている、ということです。つい先日も、検察の対応を厳しく批判した日野町事件・大阪高裁の開始決定に対して検察が特別抗告したばかりです。

根本的には再審開始決定に対する検察側の抗告を禁じる法改正が必要ですが、袴田事件や大崎事件など請求人の高齢化が著しい事件については法相の指揮権発動が行われるべきだと思います。

 

21日追記

みなさんご承知のとおり、昨20日に東京高検は特別抗告を断念する旨発表しました。最近の再審無罪事例では松橋事件が2018年10月に再審開始決定、2019年2月に再審公判初公判、検察が有罪立証を放棄したため即日結審して同年3月末に判決公判を迎えています。湖東記念病院事件では2019年3月に再審開始が確定、再審無罪判決は2020年3月です。再審開始決定から半年〜1年の時間がかかっています。報道から判断する限りお二人とも健康に深刻な問題は抱えておられないようですが、可能な限り迅速な手続きを望みます。

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