「未解決事件 File.07」

地下鉄サリン事件が起きた95年は個人的にはなによりも阪神淡路大地震が起こった年で、事件の一報は雨漏りを始めた自宅から家財を運び出す作業をしている真っ最中だったことを今も記憶しています。そのためか、地下鉄サリン事件やその後の捜査等についてはリアルタイムで目撃したという感覚をもつことがいまだにできず、関連書籍や番組などには積極的にはアクセスしてきませんでした。この番組も本放送のときにはスルーしていたのですが、番組表で再放送の予定を見つけた時に思い直して予約しました(5日に再放送のドキュメンタリーのみ)。


さて、この事件の捜査については前々から「オウム犯行説」以外の可能性に目を向けなかったことなどが批判されてきたわけですが、初動捜査を指揮した警視庁・元警視総監が取材に応じ、次のように語っていました(強調、〔 〕内は引用者)。

本来、捜査っていうのは本人〔=被疑者の警察官〕がこういうことを言っているのであれば、それを裏付けるものが出てくるんだけど、何も出てこない。
だからこれ〔=オウム犯行説〕は違うんじゃないのということで、もっと地道な捜査をやらなきゃいかんというんだけども、もうそちらの方にずっと行っちゃってる感じはしましたね。
それはみんなが一生懸命やっているわけだから、途中でブレーキをかけるなんて出来ませんよね。

最初の強調箇所「行っちゃってる」から滲み出す“他人事感”がすごいです。自分が指揮した捜査のはなしですよ。2つ目の強調箇所は少なからぬ人間の危惧を無視してインパール作戦にゴーサインが出た経緯を連想しますね。日本の組織が失敗するときの典型ではないでしょうか。