性犯罪被疑者供述のネタ化


https://twitter.com/breakingnews_jp/status/680318778949763072
http://breaking-news.jp/2015/12/25/022265
このケースにかぎらず、性犯罪の被疑者の供述をネタ化する事例は時々見かけます。被害者の尊厳に対して無神経だというのももちろん問題ですが、性犯罪に関するステレオタイプ的な認識を再生産してしまうのではないか、というのも気になるところです。
しばしば指摘してきたことですが、このように警察がリークする被疑者の供述はあくまで取調官と被疑者のやりとりを「一人称の語り」として再構成したものです。「ミニスカートの若い娘を見てムラムラしたんだろ?」「……そうかもしれません」が「ミニスカートを履いている女子高生を狙った」にされてしまいかねないわけです。もちろん取調の様子を私が目撃しているわけでもないので過去の事例からの類推ではありますが、逮捕された直後の被疑者が動機についてこのようにすらすらと語れるものではないでしょう。取調官は当然裁判になった時のことを想定して調書をとるわけですから、裁判官が納得しそうな動機へと被疑者を誘導する恐れがあります。この記事にも出てくる「仕事でストレスが溜まっていた」云々は性犯罪報道ではおなじみのものですが、はたしてこれが被疑者の内省に基づき出てきた供述なのか、大いに疑問です。しかしこういう報道が繰り返されることで、性犯罪者にとっての便利な言い訳のレパートリーが社会的に構築されてしまう、ということになってはいないでしょうか。