強制わいせつ事件裁判で二審も無罪


今年7月の「旧態依然の聴取は犯罪への加担」というエントリでとりあげた事件で、昨年末の東京地裁判決に続き東京高裁でも無罪の判決が出たとのことです。7月のエントリを書いた時点では把握できていなかったのですが、捜査段階では被疑者が自白しており、このまま無罪が確定すれば「虚偽自白」だったということになります。

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 高裁は、2女児の供述について「母親との会話の中で触られた状況ができあがった可能性があり、具体的な記憶に基づいていない疑いが残る」と改めて信用性を否定した。元教諭は捜査段階で自白したが、判決は自白調書についても「事件当時の教室の状況が欠落しており、虚偽内容が記録された可能性がある」と信用性を否定した。

想像するに、疑念を持った母親に誘導されるかたちで女児が「被害」を語ってしまった可能性を裁判官が考えた、ということのようです。
性暴力被害を訴える声はどうしても否認されがちであるだけに、この種の事件の無罪判決の評価は難しいですが、捜査段階での自白の信用性も否定されているのは重みがあります。「冤罪の防止」と「性犯罪の処罰」という目的が対立するかのように見えるのは、警察・検察の不適切な取調べによるところが大きい、ということを改めて確認すべきでしょう。