舞鶴高校生殺害事件、捜査検証記事

(裁判で焦点となったのは目撃者の供述ですが、冤罪ないし冤罪疑惑事件として「自白の研究」タグを用います。)
2008年に京都府舞鶴市で起きた高校生殺人事件で、最高裁は7月8日に検察の上告を棄却し、2審の逆転無罪判決が確定しました。京都新聞が操作についての検証記事を掲載しています。

 翌年1月11日、捜査本部は運転手から再び話を聴いた。この時に捜査員がミスを犯す。男性の写真を見せてほしいと頼まれ、複数から目撃人物を選ぶ「面割り」の前に写真を見せたのだ。この後、運転手証言は「帽子をかぶり肩幅ががっちり。あごの部分が飛び出し」と詳細になり、男性の特徴と合う内容に変遷する。

目撃者に犯人(厳密には目撃者が目撃した人物)を特定させる方法としては致命的にダメなやり方です。これでは無罪は当然でしょう。しかし記事の続きにはもっと恐ろしいことが書かれています。

 ある捜査員は捜査時期が司法制度改革の過渡期だった点を指摘する。「昔は心証を得るため面割りの前に1枚だけ見せることもあった。証拠開示請求の仕組みが整ったからこそ、弁護側が証言の変遷に気付いた」

デタラメな「面割り」が行われていても証拠開示がなされず弁護側がそれを指摘できない、という冤罪がさらにあった可能性を示唆しているわけです。