「冤罪半島」!


大崎事件の冤罪疑惑をとりあげた先日のエントリ「再審格差」へのコメント欄でとらこぞうさんにご教示いただいた「再審請求事件における手続き的正義を問う」(指宿信、『世界』2013年5月号)を読んだのですが、大崎町が位置する大隅半島は専門家の間で「冤罪半島」と呼ばれている、という記述がありました。「そういや、志布志市大隅半島だな」とピンと来る方もおられるでしょうが、それ以外に2件の冤罪事件が紹介されています。1973年に垂水市で発生した強姦殺人事件では一、二審有罪ののち差戻しの控訴審で無罪が確定しましたが、福岡高裁は「調書に述べられていることが果して被告人らの実践〔ママ〕の体験事実を示すのかどうか極めて疑問」と、虚偽自白の強要を強く示唆する判断を下しています。そのような取調べを、いずれも少年だった被疑者2名に対して行なったわけです。
なお本論の方は、タイトルが示唆しているように、大崎事件やその裁判の内容に即して冤罪であることを説くのではなく、再審請求においては「裁判所の消極姿勢にぶつかると、まったく法的に動かしようがない」という手続き上の問題点に絞って論じていて、大崎事件にとどまらない射程を持つものとなっています。