『隠された証拠が冤罪を晴らす』
- 日本弁護士連合会再審における証拠開示に関する特別部会(編)『隠された証拠が冤罪を晴らす 再審における証拠開示の法制化に向けて』、現代人文社、2018年
再審における証拠開示に関する特別部会の部会長で、大崎事件の弁護人である鴨志田裕美弁護士が「再審格差」という概念で問題提起したように、いまの日本には再審請求審における証拠開示についての明示的なルールはなく、裁判官が証拠開示に積極的かどうかで大きな違いが生じてしまう。再審弁護に取り組んできた弁護士らによる報告と、シンポジウム等の記録。
とりあげられている各事件について簡単に経緯等は説明されているが、なにぶん手短にまとめられているので、まるきり予備知識がないひとにはわかりやすい本だとは言えない。しかしいくつかの事件について原審および再審請求審における争点をある程度承知していれば、検察の非道さに対する怒りで目も眩みそうになるだろう。