『黒く濁る村』ほか


DVD でカン・ウソク監督の『黒く濁る村』(2010年、韓国)を見た。原題の『이끼』は「苔」の意、とのこと。出演はパク・ヘイル、やはりカン・ウソク監督の『シルミド』で第1班長と教官の下士官をそれぞれ演じていたチョン・ジェヨンとホ・ジュノなど。
部分部分をとると面白いシーン、面白いキャラクター(特に検事のツンデレっぷり)はあるのだが、全体としての仕上がりは「?」な感じ。首を傾げたくなるような演出やカットの繋ぎ方がちょくちょくあるので、ヴェテランの監督のことだから意図的なのかと思いもしたが、やはり脚本にいろいろ穴があるのが原因か。レンタルで借りてみる分には損はないかと。
それから、オリジナル版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年、スウェーデンほか、原題 Män som hatar kvinnor )をレンタルDVDで。劇場公開版より約30分長い「完全版」と題したもので、第1部と第2部に分けて再生することもできるようになっている。ジャケ写のリスベット(参考)が『アジョシ』のマンソク兄弟の弟の方に見えて仕方なくて困った。
フィンチャー版はもちろんオリジナルとは力点の置き方などをちょこちょこ替えている*1が大筋ではオリジナルに忠実なリメイクになっているので、「ああなるほど、こういうのがハリウッド仕様か」というのが非常によく分かる。例えば主人公は、フィンチャー版のダニエル・クレイグとは違って見事な中年のおっさん体型。バイクの疾走シーンなどもずいぶんと感じが違う。一番興味深かった違いは、フィンチャー版ではロンドンが日差し燦々の街に見えるほどにヘーデビー島のシーンは陰鬱な絵づくりだったのに、オリジナル版ではいたって普通だったところか。なお、猫好きにはオリジナル版をお勧めします。


正月くらいにDVDで見てまだ言及していなかったのがクライヴ・オーウェン主演の『ブラザー・ハート』(2004年、アメリカ、原題 I'll Sleep When I'm Dead )。復讐モノなのだが、劇中で主人公の恐ろしさを何度も語るおっさんが出てくるので、結末ではギャング皆殺しか? と思わせておいて……。もう一つはザック・スナイダーの『エンジェルウォーズ』(2011年、アメリカ、原題 Sucker Punch )。ひとことで言えば「もう、そういうの飽きましたから」かな。

*1:例えば、「レビ記」からの引用を示す符号の解読については、オリジナル版の方が丁寧。しかし「3」でもってモーセ5書の3番目たる「レビ記」を指すのって、よくあることなんだろうか。