仮釈放「意見等聴取制度」、低調

以前に isikeriasobi さんからご教示いただいた制度、受刑者の仮釈放を審査するにあたって犯罪被害者の意見を参照する「意見等聴取制度」について、今朝の朝日新聞朝刊が「そもそも周知不足で、制度を利用する被害者は少数にとどまっている」「審理内容は非公開」といった問題点を指摘する記事を掲載している。

 そもそも被害者が意見を伝えるには、仮釈放審査が始まったことを知る必要がある。そのためには事前に、受刑者の近況が被害者側に伝えられる「被害者等通知制度」という別の制度の利用を、事件を扱った検察庁に申請しておかなければならない。

一般論として、権利の行使にあたっては市民の側にも権利を主張するための努力が必要であることはたしかだが、犯罪被害者の場合には権利の行使をエンカレッジする体制も必要だろう。


他方、この制度が正しく機能するためには、被害者をして「仮釈放が妥当だと思います」と言わしめるケースが有意に現われるよう矯正教育が実をあげるとか、客観的には仮釈放が妥当であるにもかかわらず被害者が反対する場合に意を尽くした説明をするなど、とにかく手間のかかる実践が必要になるはず。ここで手を抜くと「意見等聴取制度」が結局は重罰化の手段にしかならない、という問題もあるように思われる。