恵庭事件、再審ならず

 

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日曜日


(自白のない事件ですが、便宜上「自白の研究」タグを用いています)

恵庭事件の第二次再審請求が最高裁によって退けられました。

-北海道新聞 4月16日 「恵庭OL殺人事件、最高裁も再審認めず 第2次請求、特別抗告を棄却」(アーカイブ

なお当ブログではこの事件に関して、検察の証拠隠しが疑われる旨のエントリを書いたことがあります。

NNNドキュメント「濡れ衣」

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金曜日

今度の日曜日深夜、NNNドキュメントが桜井昌司さんを取り上げます。

 またマガジンハウスから桜井さんのエッセイ『俺の上には空がある広い空が』も刊行されました。

magazineworld.jp

それぞれ、追って感想を記事にしたいと思います。

違法な取り調べで熊本県に賠償命令


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木曜日

www.nishinippon.co.jp (アーカイブ

やはりこのケースでも警察の「取り調べで反省を引き出そうとする」姿勢と、それでいて自分たちの誤りは一切認めようとしない体質とが露呈しています。家裁で不処分の判断学だっただけでなく、別の民事訴訟で女児の母親の供述について「信用性が乏しく、一部は虚偽で違法」という判決まで下っているにもかかわらず、取り調べにあたった警察官は今でも彼(男性)の話を信用していないのか」という原告側弁護士の質問に「そうですね」と答えたとのことですが、公務員が裁判所の二重の判断を無視してこんな発言をする権利があるのでしょうか?

判決では男性の性急が認められはしましたが、賠償額はわずか16万5千円でした。県にとっては痛くも痒くもないでしょう。

kumanichi.com (アーカイブ

袴田事件、三者協議始まる

-NHK NEWS WEB 2021年3月22日 「袴田事件再審 東京地裁で3者協議始まる」

www3.nhk.or.jp

注目すべきは、静岡地裁と東京高裁で評価の分かれたDNA鑑定ではなく、「5点の着衣」の血痕の色が争点になる見通し、という点です。

先に最高裁がこの点に関する審理がつくされていないとして高裁に差し戻したからなのでしょうが、なるほど弁護側の主張する通り1年も経てば赤みが消えるはずというのなら「5点の着衣」が捏造された証拠であることはほぼ確実になり、DNA鑑定についての議論をバイパスできます。

なお今月始めには、「味噌漬け実験」に取り組んだ支援者の記事が「デイリー新潮」に掲載されています。

www.dailyshincho.jp

「日本一長く服役した男」

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土曜日

なぜか NHK のサイトにきちんとした番組の情報が残っていないので、番組表のスクリーンショットを貼ります。

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「日本一長く服役した男」

「仮釈放になってすぐに出てくることができる」という誤解が広まっている「無期懲役」についての問題提起……のはずなのですが。取材を受けた元刑務官の男性は「(無期懲役は)本当に終わりのない/いついつまで頑張ったらっていう 有期刑の者とは明らかに違うので/とてもじゃないが希望を持たすとか 指導の仕方っていうのはできなかった」(テロップの書き起こし、以下同じ)と無期懲役の重さを語りながら、「もう自業自得 当然の結果だと 見る人もおるでしょうし/特に被害者の方であれば それも仕方ないことだと思います」と語る。取材中に死亡した元受刑者の火葬に立ち会った男性は「男性〔=元受刑者〕の生きた意味 どういうものだと?」と問われ、「人の命を奪って 人の未来も奪ったんだから 仕方ないんじゃないですか/人の未来奪っといて 自分だけのうのうと生きようなんて/そんな世の中は通らないと思いますよ」と語る。

極めつけは、元受刑者を受け入れた福祉事務所の代表。受け入れた当初の取材では「ここで与えられた使命というのは 社会復帰させることですから/罪を問い詰めることじゃないです/過去を責めても仕方ないでしょ 今からを見ていかんと」と語っていたにもかかわらず、元受刑者の生活態度にいらだちを覚えると「一生ね 自分の中で罪は償うていかな/刑務所で償うのか ここで償うのか 場所が変わっただけ/今から生きるためには Aさんが亡くなられた 自分があやめた人に/手を合わせて「すまんやったごめんやった」 ちゅうて生きていかなんと」と説教をしてしまう。

 

しかし人の未来奪っといて 自分だけのうのうと生きようなんて/そんな世の中は通らないと思いますよ」というのは本当だろうか? 2千万人の「未来」を奪った侵略戦争や植民地支配についてこの社会はそんな姿勢を見せているだろうか? むしろ「いつまで過去を蒸し返すのか!」と声高に言い立てているのではないのだろうか?

元刑務官と火葬に立ち会った男性の二人の語りは、番組中で語られたことだけを見ると61年もの服役を「仕方ない」としているようでいて、語り口や身振りなどは口にできない思いをなお抱えこんでいるようにも思えた。本当は「無期懲役」についてもっと批判的なコメントも口にしたいのに、「世間」がそれを許すまいと思っているようにも見えたのだ(あくまで見えた、だけだが)。それがまた、61年も服役した男の犯罪と国家犯罪に対するこの社会の態度の違いを痛感させた。

 

いつもコメントを下さる Teru さんからメールでお知らせをいただいたのだが、この番組についての Zoom ウェビナーが来月末に開催されるとのこと。

cpr20210328.peatix.com

私も早速申し込んだ。上記のような私の感触が正しかったのかどうか、確かめてみたい。

毎度の責任転嫁

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金曜日

-JIJI.COM 2020年11月24日 「日本海スルメイカ、資源量急減 中国違法乱獲、20年強で4分の1」(archive

水産資源に関する記事ではよくあることですが、ここでも日本側の乱獲はスルーされています。しかし鮮魚売り場を日常的に訪れていれば、スルメイカに異変が起きたのが昨日今日(非吉村洋文的意味)のことではないことが素人にもわかっていたはずです。個人的な印象では店頭に並ぶスルメイカの小型化が顕著になったのはもう10年近く前のことです。

この時期になると話題になる「恵方巻き」ですが、今朝のテレビでは海苔ではなくマグロで酢飯を巻いた下品極まる恵方巻きが紹介されていました。もういい加減食品、特に保存の効かない食品をイベントのネタにするのはやめるべきです。

名張毒ぶどう酒事件で証拠開示要求

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火曜日

-朝日新聞DIGITAL 2021年1月26日 「名張事件、証拠開示求める

 弁護団によれば、未開示の証拠が約2千ページ分! もあるとのこと。

ところで、いわゆる「安楽死」について、同意殺人ないし嘱託殺人の違法性が阻却されうる要件を初めて示した判決として知られている名古屋高裁昭和37(う)496を読んだことがあるのですが、この事件で病気の父親を殺害した息子は殺害方法について名張毒ぶどう酒事件を参考にしたと事実認定されています。思わぬところで出くわしたのでびっくりした記憶が。