絶滅記念日(予定)


スーパーで、デパ地下で、コンビニで、ファーストフードチェーンで、ひとつの生物種を抹殺するプロジェクトが晴れやかに行われていました。みんな、笑顔で。売る方も、買う方も、幸せそうでした。
あと何年かたてば、土用の丑の日は「日本人がついにウナギを食べ尽くした日」として記念日になるでしょう。国民の祝日になるかもしれません。大人たちは子どもたちに言うでしょう。「君たちもあと10年早く生まれていれば、最後に養殖場に池入れされたウナギを食べることができたのに」と。
夏の暑さとともに人々は奇妙な喪失感を覚えるようになるでしょう。「あれ、なにかが足りないな」と。でも「ま、いいか」とすぐ忘れてしまうに違いありません。たかがウナギですから。
いくつの種が滅びたら、ひとは学ぶのでしょうか。「とりかえしのつかないことはとりかえしがつかない」と。