折角のチャンスなのにまず「価格」が気になる日本のマスメディア
シラスウナギの漁が「好調」であると報じられています。
-日本経済新聞 2020年1月18日 「ウナギ稚魚漁、3年ぶり出足好調 店頭価格波及まだ」
「好調」とは言っても絶不漁だった過去2年との比較で、の話です。最盛期に遥かに及ばないことは変わりません。しかし上記記事の見出しにあるようにまず関心が向けられているのは価格の低下です。記事の最後に申し訳程度に「天然のウナギがすみやすい河川の環境整備など、資源を増やす取り組みも欠かせない」とあるだけで、あとはすべて業界と価格の話ばかりです。稚魚数が多いときほどそれが親になるまで育って産卵へと繋げなければならないのですが。この調子では安くなったウナギを場当たり的に消費するだけに終わってしまうでしょう。
ウナギについてはこんな記事も見つけました。
-Nagano Nippo Web 2020年1月27日 「寒の土用ウナギ供養祭 うなぎのまち岡谷の会」
岡谷市発祥の「寒の土用丑の日」(23日)に合わせ、市内のうなぎ料理店や川魚店でつくる「うなぎのまち岡谷」の会は26日、ウナギの供養祭を同市の釜口水門近くで開いた。発祥の地記念碑の前で一礼し、1年間に消費されたウナギを供養。諏訪湖にウナギ約30匹を放流し、岡谷の食文化を守る決意を新たにした。
(後略)
必要なのは資源保護にはほとんど寄与しない放流で「なにかやったつもり」になることではなく、カジュアル消費を増やすだけの「寒の土用丑」などという愚行を直ちにやめることでしょう。「食文化」の前に「天然ウナギ資源」を守らなければ元も子もないのに……。
こんな調子だから、本来なら目くじら立てるほどでもないニュースも禍々しく見えてしまいます。
-信毎web 2020年1月17日 「岡谷で「うなぎ給食」始まる 園児ら夢中」
岡谷市名物のウナギのかば焼きを使った「うなぎ給食」が16日、市内で始まった。市発祥の「寒の土用丑(うし)の日」(今年は1月23日)をPRするため、市内のうなぎ料理店グループがかば焼きを提供。2月までに保育園や小中学校などで1回ずつ出される。
地方都市の幼稚園児が一回の給食で消費するウナギの量など誤差みたいなものですが、ここにもしっかり「寒の土用丑」の PR が組み込まれています。
さらに許しがたいのが次。
-ROCKET NEWS24 2020年1月23日 「【衝撃】うなぎ界の二郎! 新小岩「和友」のうな重がハピネス…!! 圧倒的ハピネスに震えた…ッ!!」
見出しを見ただけで存在を許されない店であることがわかります。このような愚挙を娯楽的に消費するメンタリティは確実にグレた・トゥーンベリさんらの活動を嘲笑するような風潮とつながってますね、確実に。