養殖業者陰謀説/ゲンダイネットのうなぎ記事

「冗談じゃない」と言いたいのはこちらです。

 落胆するのは早い。東京や大阪を中心にチェーン展開する激安うな丼店には、今も「うな丼1杯500円」のノボリがはためいている。値段の割には味も上々だ。
(中略)
 冷凍技術の進化で、中国で蒲焼きに加工した後も、2年間の品質保持が可能だという。不漁による価格高騰を見越し、安値で買い付けた加工品を時間差で市場に投入する……これが激安の理由のようだ。

安心するのは早い。安く買い付けた在庫がなくなれば「激安」商法も終わりですね。
一連のうなぎ報道をみていて気づいたのは、価格に関して中国を敵視するようなものが見られる一方、「中国産」の品質・安全性を問題視するようなものがないということです。中国産なしには立ち行かないという現状と、この記事や「報道ステーション SUNDAY」でも紹介されているような中国側の努力のためでしょうか。


さて、今回のツボはここです。テーマは「言い値市場を許すな」だそうです。

「ウナギ取引は市場原理が働きにくい構造です。『セリ』はなく、価格は養殖業者と問屋や専門店との相対取引で決まる。いろんな『ネタ』を仕入れる寿司屋なら、割高な魚を避けられますが、ウナギ専門店は高値でも仕入れなければ商売できない。その弱みに付け込み、過剰に値をつり上げる業者もいるのです」(前出の流通関係者)
 まるで時代劇の悪徳問屋さながら。ウナギが国際規制されれば、庶民は「打ち壊し」を起こすしかない?

セリがない分野はいっぱいありますが、それらについて一概に「市場原理が働きにくい構造」などと言われているのを読んだ記憶がありません。数が少ないものが高くなるのは「市場原理」に反してますか? 「ウナギ専門店は高値でも仕入れなければ商売できない」とあたかも養殖業者が一方的に弱みを握っているかのように言いますが、逆に言えば養殖業者は「シラスが高値でも仕入れなければ商売ができない」「ウナギを売らなければ商売ができない」わけです。商社やスーパー、外食チェーンなら利益のあがらない商品から撤退して、他の商品に移行することもできますが。シラス価格の高騰と比較して、養殖うなぎの値上がりは「過剰」ですか? シラス漁獲量の激減と比較するなら、値上がりはむしろ「過小」だとは言えませんか?


なお、zakzak夕刊フジ)にも「うなぎは、養殖業者と問屋や専門店が直接取引している」ことが高騰の一因だとする記事が掲載されていますが、こちらではちゃんと養殖業者側のコメントもとっています。

 国内最大手の養殖業者、鹿児島鰻(鹿児島県大崎町)の広報担当者は、「言い値で通るなんてことがあるはずがない。そもそも、価格が上昇した分、しらす(うなぎ)の仕入れ値も同時に上がっている。利益なんてほとんど期待できない」と語る。
(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120721/dms1207211459003-n1.htm)