土用の丑の日がすぎても油断はできない


ABCテレビ(関西では)の番組「奇跡の地球物語」、8月10日(日)放送分は「幻の天然ウナギ“青ウナギ”〜ベテラン漁師に密着!生態に迫る〜」。録画しておいたのを見てみました。

 日本の食卓からウナギが消えてしまうのか……? 今年6月、絶滅危惧種に指定されたニホンウナギ。その一方で、今年は稚魚が豊漁とのニュースも伝えられる。ウナギの生態はいまだ謎が多いのだ。

というナレーションで始まる。「その一方で……」のタイミングで「シラスウナギの国内漁獲量」のグラフが。ただしグラフは2008年からのデータによるもの! というインチキぶり。この文脈で「生態はいまだ謎が多い」としたのでは、視聴者は「そうか、よくわからないから実はこれから逆に増えるかもしれないわけだな」と思いかねないじゃないか!
で、今回の主役は岡山県児島湾の「青うなぎ」(を獲る漁師夫婦)。取材初日の漁は空振り。「いままでじゃったら(はえ縄を)3つあげたら、なんぼ悪うても15本はおる。15本か20本、3つあげたらな、おるんじゃけ。全然、今年ぁ」という不漁ぶり。
続いて青ウナギがおいしい理由、ですと。主な餌がアナジャコだからというのが理由その1。しかしアナジャコが棲む干潟は年々減少している……と少し期待の持てる展開。そういう環境の変化がウナギ減少の一因でもありますからな。中央大学のウナギ研究者が登場して「このまま干潟が減少していけば、ウナギにとっていい環境がどんどん少なくなるわけであって。うなぎを守るためにも干潟を守るということが非常に重要なことの一つだ、と考えられます」と。やれやれ、やっとこさ「保護」という観点が出てくる番組に行き当たりましたよ。冒頭のミスリードが残念だ。
続いて別の日の漁の様子。この晩は5尾がかかる「大漁」。こんな規模の漁を「乱獲」とは言いづらいけれども、「老夫婦のちょっといいはなし」で片付けずに「獲っても大丈夫な状況なのか?」は検証してほしかったな。



ところで、なんでウナギ屋には「いずも屋」という屋号が多いのか? と思ったらやはり同じような疑問を抱いた人がいたようで。
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000080873