「そりゃもうそんなの出したら大騒ぎだからね」

再聴取時のやり取りを石川議員が録音していたという件、当初の報道では「石川さんが今までの話を維持している限り、(小沢一郎民主党元代表は)起訴にはならないんだろうと思うんだよ」という誘導が強調されていたと思うのだが、次のような脅迫も行われていたことがわかる。

 検事「(一部報道にあった別件の疑惑で)『しかるべき時期に議員辞職します』みたいな内容の調書があったじゃない」


 議員「はい」


 検事「そりゃもうそんなの出したら大騒ぎだからね。まあ現状でいく限りね、(上司は)そんなもの世に出そうなんていう気はないと思うけど、これがまた変な方向へね、鈴木宗男(元衆院議員)みたいに徹底抗戦みたいになっちゃうとさ、『やれるものはやれ』と」

そういう調書を表に出されたくなければ、おとなしく供述を維持しろ、というわけである。取調べの全面可視化に抵抗するための「被疑者が表に出したくないと思うことを話してくれなくなる」という論法がいかに虚しいかがよくわかる。
この記録は証拠採用されることが決まっているが、やり取りの後半では問題の4億円についても検事が石川議員の主張とは異なる供述へと強く誘導していることがわかる。もちろん、そのことから直ちに(調書にはならなかった)石川議員側の主張が真実であるとは言えないわけだが、簡単に有罪判決が出るような情勢ではなさそうだ。
小沢一郎の強制起訴が(あるいは事件全体が)小沢を失脚させるための陰謀だ、といった小沢信者の主張は論外としても、これだけ具体的に取調べの問題点が明らかになっており、かつそれが孤立した問題ではなく特捜検察の構造的な問題であることが指摘されている現在、民主党執行部が小沢の影響力を削ぐために起訴を利用しようとすることにも、やはり疑問を抱かざるを得ない。