前例

 判決の指摘を受け入れて無罪を確定させるのか、それとも控訴に踏み切るのか。大阪高検のある幹部は、証拠請求した8人の捜査段階の供述調書計43通のうち34通が採用されなかったことを問題視。「これだけ多くの供述調書が証拠採用されなかった例はない。(裁判官の)法令違反ということも考えられないか検討し、対応を慎重に協議する」と話す。

「例はない」というのが特捜の事件で、という限定付きのはなしであれば別だが、ちゃんと前例はありますよ。袴田事件では警察官の録取した自白調書が28通、検察官の録取した調書が17通、計45通の自白調書が証拠申請されたけれど、一審の静岡地裁は警察での自白調書全てを任意性に疑いがあるとして排除し、かつ検察での自白調書についても16通を起訴後の取り調べによるものであるという理由で排除したため、45通中たった1通しか証拠採用されなかった。もっとも、そのたった1通の自白調書によって死刑判決が出ましたが。