検察審査会


昨日(7月3日)の朝日新聞(大阪本社)朝刊オピニオン欄に、検察審査会の起訴議決に強制力を持たせた制度改正についての識者インタビューが掲載されていた。取材を受けているのは元裁判官・現弁護士の秋山賢三、明石歩道橋犠牲者の会会長の下村誠治、元検察官の高井康行、の3氏。「有罪か無罪かは、検察ではなく裁判所が決めるべき」という下村氏の主張はそれ自体としては正論なのだが、検察審査会がたびたび検察の判断を覆すならば結果として起訴へのハードルが低くなるので、報道のあり方も含め被疑者・被告人の人権を擁護する手だてを講じる必要はあろう。また、「嫌疑不十分」で起訴されなかったケースと起訴猶予の場合とを区別し、後者の判断を検察審査会が覆すのは「問題ない」が前者は「人権侵害につながりかねません」という高井氏の主張には一定の説得力がある(ただし、反対に起訴されるだけで直ちに「物心ともに大きな負担がかかり、社会的な制裁も受ける」ことこそが問題なのだ、という反論もあろうが)。
他方、「検察官が起訴しない事件を起訴させる方向に市民が関与するのではなく、検察官が起訴すべきでない事件を起訴させないためのチェック機能こそ市民に求められている」という秋山氏の主張は発想としては非常に興味深いが、具体的にどう制度化するのか(あるいは制度によってではなく、市民の自発的な活動に期待するのか?)という点までは踏み込まれていない。