『インビクタス』

劇場公開時に見逃した『チェンジリング』を先日DVDで見たと思ったらもう新作が日本公開されて、次回作もポスト・プロダクションの段階……。数えてみたら90年代以降(つまりはイーストウッドが還暦を過ぎてから)ほぼ年に1本のペースで監督しているわけで、改めて多作ぶりに驚かされる。
イーストウッドらしく非常にわかりやすい、無駄のない映画。したがって、例えば真実和解委員会がとりくんだ問題の複雑さを提示するようなことは目指されていない。娯楽作品らしく適度なサスペンスをちりばめながらも、基本的には直球でネルソン・マンデラ(と彼に協力した人びと)を讃えることに専念している。
この映画の題材であるラグビーのワールドカップが開催されたのは1995年。とりたててラグビーに興味はないとはいえ、ふつうであればボイコットを解除されて初めて出場した南ア・チームの動向は気になっただろうと思うのだが、この年は地震のせいでいろんな事柄をスルーしてしまっていた。おかげで結果を知っている人よりも楽しめたかもしれない。
アメフトとは似て非なるラグビーの試合をアメリカ人のイーストウッド(『映画秘宝』10年3月号のインタビューによればやはりルールすら知らなかったとのこと)がどう演出するかが見所の一つなのかもしれないが、なにぶん私自身がラグビーに詳しくないので(^^;