ヤメ検弁護士の詭弁

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月曜日

-朝日新聞DIGITAL 2020年12月12日 

digital.asahi.com

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袴田さんの近況を伝えるとともに、再審開始をめぐり静岡地裁と東京高裁で判断が分かれたポイントを詳しく解説しようとした、ありがたい企画です。ただ、識者コメントを“両論併記”にする必要があったのか、その点は疑問です。東京高裁擁護論のレベルがあまりに低すぎるからです。

地裁決定と高裁決定を比較した場合、地裁決定は事実を総合的にみるという観点が欠けているのではないかと思う。新しいDNA型鑑定の結果にとらわれ、捜査、公判の流れを全体的、総合的にみる観点に欠けていた。

 いやいや「総合的」にみればみるほど無実は明らかでしょう。「5点の着衣」だけでなく「履けないズボンのタグ」「売っていなかったクリ小刀」など、検察の立証のほころびはいくつもあります。

高井氏は犯行時の着衣に関する立証について、次のように主張します。

 これについて地裁決定は、捜査関係者による捏造の疑いがあるなどと述べているが、見当違いもはなはだしい。検察が従前の主張に反する証拠を捏造する理由がどこにあるのか。

(中略)

 公判の途中で「5点の衣類」が血染めの状態で発見されたという報道も強く印象に残っている。「検察は一体、どうするんだろう」と率直に思った。つまり、これまでの主張とまったく異なる物証がでてきたので検察は苦しい立場に立たされるだろう、事件はどうなるのか、立証できなくなるのでは、などと考えたわけだ。

 しかし高井氏はここで重要な事実を隠しています。パジャマに付着していた血液が微量で、これを犯行時に着用していたとする検察側の主張が説得力を欠いていた、という事実です。もう少し「総合的」にものを見てもらいたいものです。

 

 

 

「逃げる司法」ネット配信

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日曜日

本日13時からMBS制作のドキュメンタリー「逃げる司法」がネット配信されます。

www.youtube.com

www.mbs.jp

再審、裁判のやり直しが行われた2つの事件。1990年に女児が誘拐され殺害された「足利事件」と2005年に再審開始が言い渡された「布川事件」。どちらも検察が冤罪をでっち上げ、裁判所がこれを見抜けなかったために、無期懲役を言い渡された事件だ。番組では、2つの事件に注目し、布川事件では「無実の証拠を隠し続ける検察」の観点から、足利事件では「冤罪を見抜けない裁判所」の観点から日本の冤罪の構造を解き明かす。

 

 

 

「否認」の深刻さ

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木曜日

 不正選挙陰謀論は自己論駁的だ。民主党員は悪魔のように狡猾で、バイデンに有利なように選挙を操作するため複数の州と何百何千もの郡で歩調を合わせた。しかしとても愚かで無能なので上院で多数派になるよう操作するのを忘れ、下院で議席を失いさえした。証明終わり。

実際にこれを陰謀論者につきつければ、彼らは「陰謀が露見しないよう、勝ちすぎるのを避けたのだ」と返すことができるので、「論駁」は達成されないだろう(もちろん、これでハッと目が覚めるひとがいてもおかしくない)。たとえば反ユダヤ主義ユダヤ人を一方では「狡猾に世界を裏から支配するやつら」として、他方では「劣等民族」として描くことを、マイケル・シャーマ−ならよく知っているはずである。

アメリカ大統領選挙についての報道では「分断」がお約束のキーワードになっていた。しかし少なくとも同程度に深刻なのは、アメリカに広がる(ついでに日本にも波及してきている)「否認」だろう。

thehill.com

 COVID-19のために死の床についていてなおCOVID-19を否認する人々。この否認は明らかに「分断」の背景にあり、「分断」を加速している要因だ。

安倍・菅政権のCOVID-19対策はまったくロクでもなかったが、トランプやボルソナーロなどと違ってCOVID-19の脅威を否認する右派言論人の主張をおおっぴらに裏書きしたりしなかった点だけはマシだった。彼らの政策はCOVID-19の過小評価に引きづられてはいても、たとえば小川榮太郎の主張を支持したりはしなかった。少なくともアメリカと比べればCOVID-19否認派が周辺的な存在にとどまっている一因はそのおかげだろう。

「風物詩記事」で消費される水産資源

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金曜日

-日本経済新聞 2020年11月12日 「北海道・鵡川シシャモの漁獲9割減、98年以降で最低に

スーパー等で「シシャモ」として売られているものの大半は実は「カペリン(カラフトシシャモ)」という別の魚種であり、この記事で言うところのシシャモはもともと日常的に食する機会の多い魚ではありません。しかし不漁の原因が記事にあるように「平年より海水温が高かったことなど」なのだとすると、今後もこうした不漁が続く可能性は高いわけです。

ところがたった数週間前にはこんな記事が配信されていました。

-読売新聞 2020年10月22日 「銀色に輝くシシャモ、北海道で「すだれ干し」ピーク

記事を読めば分かる通り、いわゆる季節ネタとして惰性で書かれただけの記事で、この時点ですでにわかっていたはずの歴史的な不漁にはまったく触れられていません。政府や企業が「SDGs」を看板に掲げてはいても、結局こういう日常的な記事に「持続可能性」への無関心が露呈している……ということではないでしょうか。

中日新聞の日野町事件連載

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日曜日

会員限定記事ですので私は全文を読むことができませんが、ご案内まで。

〈検証・日野町事件〉(上)〜(下)

<検証・日野町事件>(上)06年の再審請求棄却、倒錯した論法に批判:中日新聞Web

<検証・日野町事件>(中)取り調べ14時間「食事与えた」と看過:中日新聞Web

<検証・日野町事件>(下) 「可能性話法」で塗り固め:中日新聞Web

 

証言・日野町事件(1)〜(6)

証言・日野町事件 (1)当夜の被害者 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

証言・日野町事件 (2)写真すり替え 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

証言・日野町事件 (3)正解への誘導 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

証言・日野町事件 (4)賢いハンス 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

証言・日野町事件 (5)逮捕前夜 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

証言・日野町事件 (6)最後の「侍」 作山哲平(大津支局):中日新聞Web

このうち(4)では浜田寿美男さんにインタビューしています。

 

三菱スペースジェット(MRJ)、開発凍結へ

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木曜日

-共同通信 2020年10月22日 「国産ジェット旅客機の開発、事実上凍結へ」

うっかりサーバーを解約してしまって消滅した旧掲示板でときおり話題になっていた三菱重工MRJ改めスペースジェット、ついにこういう結果になりました。

記事では新型コロナウィルスの流行に伴う航空不況が理由であるかのようにされていますが、もともと大幅に開発が遅れていた案件です。新型コロナはむしろ撤退する格好の口実を提供してくれたというところでしょう。

もうそろそろ「ものづくり大国」幻想から醒めないとほんとにまずいことになると思うんですけどね。

大崎事件第4次再審請求、「事故」現場で進行協議

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木曜日

-西日本新聞 2020年10月13日 「事件現場で状況再現 24年ぶり裁判官立ち会い 大崎事件」(アーカイブ

進行協議が現場で行われたのは、殺人事件ではなく事故死であり、近隣住民により自宅に送り届けられた時点で死亡していた可能性が高い……という弁護側の主張をアピールするためとのことです。