気候変動とカツオのたたき

COP25 のおかげでネットではまたトゥーンベリさんを誹謗中傷する冷笑屋どもをよくみるようになりました。主観的には「冷静」で「現実的」なつもりでいるのでしょうが、実際には気候変動という「現実」に向き合うことが出来ず、異議申し立てを行う少女への「苛立ち」を抑えることができないわけです。

何年か前に百貨店の食料品売場でソウダカツオのたたきを売っているのを見かけました。水産資源の危機については人並み以上には知っているつもりでしたが、改めてショックを受けたのを覚えています。ソウダカツオを代替品にしなければならないほどホンガツオの資源量が減っているということなのでしょう。

さてカツオについては先日このような報道がありました。

-朝日新聞DIGITAL 2019年12月2日 「カツオのアニサキス食中毒 「異変」は海で起きていた

昨年報告された食中毒の中で、カツオのアニサキス中毒事例が非常に多かった、その現員についての記事です。

 ではなぜアニサキス寄生が多かったのか。どうやら海の異変が関連していると考えられています。

 漁業関係者への聞き取り調査によると、昨年4月は例年と違って、伊豆諸島の三宅島周辺にカツオの大きな漁場ができており、そこで取ったカツオが全国に流通しました。例年よりも脂ののりが良く、胃の中にはオキアミが大量に入っていたといいます。

 2017年9月以降、黒潮の大蛇行が観察されており、この影響で18年は伊豆諸島周辺の海水温が下がらず、カツオは17年から18年にかけてここで越冬、あるいは18年の2、3月の早い段階で黒潮にのって北上、三宅島周辺で長期間とどまっていた。この間にアニサキスが寄生しているオキアミや、オキアミをエサにするカタクチイワシを長期間食べたため、多くのアニサキスがカツオの内臓に入り込んで、さらに身にも移った――報告書はこうした可能性を指摘しました。

 気候変動に伴う海水温の変化が海に与えるダメージについては、次のような記事もありました。

-BBC NEWS, 7 December 2019, "Climate change: Oceans running out of oxygen as temperatures rise"

海水温が上昇したため、海水中の酸素が 2% 減少した、という研究についての記事です。トゥーンベリさんに向ける哄笑のひとつひとつが魚たちを窒息させようとしているのです。