牧野雅子氏インタビュー記事

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日曜日

-弁護士ドットコムニュース 2019年12月24日 出口絢「痴漢冤罪の責任は、女性にあるのか? まず目を向けるべきは「ずさんな捜査」の問題だ」

『刑事司法とジェンダー』インパクト出版会)の著者で先日『痴漢とはなにか 被害と冤罪をめぐる社会学』(エトセトラブックス)を上梓した牧野雅子氏のインタビュー記事が弁護士ドットコムに掲載されています。「痴漢冤罪」については当ブログでも痴漢が捜査当局にも“軽微な犯罪”と認識されていることが主たる原因であって痴漢被害者と「痴漢冤罪」被害者との間に対立があるかのように考えるのは誤りであるという趣旨のことを書いてきましたが、このインタビューでも「痴漢冤罪の問題は、警察や検察のずさんな捜査が問題であり、女性のせいにすることは捜査機関の問題を正当化することに繋がっています」とされています。

また、『刑事司法とジェンダー』の問題意識の延長線上にあると思われるのが次のような指摘です。

さらに、痴漢を取り締まる迷惑防止条例の要件には、「著しく羞恥させ」といった「羞恥要件」がある。そのため、捜査では被害者の「羞恥心」が作り出される。牧野さんはいう。

「条文そのものも警察の思い込みから立案されているのに、取り調べもそれに沿って行われている。加害者だけでなく被害者も、痴漢捜査の物語に沿うように供述させられていることに多くの人が思い至らない。性被害についての条例がこれでいいのか、議論されたこともないのが現状なんです」

痴漢被害者にふさわしい感情は「怒り」よりもまず「羞恥」である、という思い込みが条文の背後にあるというわけです。取調官の見立てに沿った供述を取ろうとすることが虚偽自白の要因になることは当ブログで再三取り上げてきたことですが、被害者の供述もまた同じような理由で歪められるおそれがある、と。