段位ロンダリング


半年ほど前に NNNドキュメント11' の「畳の上の警告 続発する柔道事故と中学必修化」をとりあげたことがあるが、それに関連する報道。

 愛知県教育委員会が県柔道連盟へ委託し、中学、高校の体育教員を対象に2年に1度開いている柔道の指導者講習(計6日)で、30年近く、受講者全員に段位(黒帯)が授与されていたことがわかった。


 柔道の総本山・講道館(東京都)によると、黒帯の取得には「平均でも2年程度かかる」というが、愛知の場合は短期間の上、審査も一般の昇段試験と違って試合の勝敗を考慮していない。関係者からはこうした段位認定のあり方を疑問視する声が出ており、講道館でも実態を調査する方針だ。

記事によれば愛知県の柔道連盟は「柔道ではほぼ初心者だが、体育教員としての運動能力はあり、6日間で全員が初段程度のレベルに達している。講習内容も十分で段位認定に問題はない」と説明しているとのこと。受講者全員が体育教師であるということを割り引いたとしても、「30年近く、受講者全員に段位(黒帯)が授与」されていたという事実は段位認定にあたって実質的な「審査」など行なわれていなかったと考えざるを得ない。県教委は「段位はあった方が、無いよりは充実した指導ができる」としてヌケヌケと「柔道などの「武道」が必修化される新年度は受講者枠を44人に増やす方針」なのだそうだ。そりゃ、講習は「あった方が、無いよりは」マシだろう。しかしそこで自動的に段位認定することがいったいどう「充実」した指導につながるというのだろうか? むしろ柔道への侮りを助長するのではないのか?