実習生帰国で「収穫に不安」


先日、水産業について書いたことが農業にも……というお話。

 東日本大震災東京電力福島第1原発事故の影響で、「外国人研修・技能実習制度」を利用して茨城県内の農家で働いていた中国人が大量に帰国した。春白菜やキャベツの産地、同県八千代町では約300人に上り、収穫の担い手が不足。福島県から避難してきた人が穴を埋める動きも出ている。
(後略)

この記事の末尾におかれた用語解説がケッサクです(強調は引用者)。

 【ことば】外国人研修・技能実習制度 途上国の人材育成・技術発展を支援するため、3年を限度に外国人を日本の企業などに受け入れる制度。08年末で約19万人が受け入れられている。従来、1年目は研修生として仕事に携わっても労働法規が適用されなかったが、実態は労働者同様に扱われることも多く、昨年7月、全員に労働法規が適用されるよう制度改正された。財団法人国際研修協力機構によると、09年に受け入れた研修生約5万人のうち8割を中国人が占め、都道府県別では茨城県が最多で3790人だった。

「労働者同様」に扱われるならまだいい方で、(当事者の一方の主張ではあるが)「集団面接では、担当者が研修生を直立させ、一巡して容姿を確認。来日後、男性は女性に「あなたは好みで選んだ」と告げた」などと奴隷並みの扱いがされているケースもあることに言及していないのは、この記事への用語解説としてはまあしかたないでしょう。しかし「実態は労働者同様に扱われることも多」いということは、多くの場合研修・技能実習制度が低賃金労働者供給の手段に成り下がっていることを意味する、とはっきり踏み込んで書いてもらいたいですね。水産業にせよ農業にせよ、こういう国がらみのインチキをやらなければ成り立たなくなっているという現状を直視しない限り、どうにもならないところまで来ているんではないでしょうか。