しょうがねぇなぁ

面倒なだけでこっちにはなんのメリットもないんだけど、いい加減被害妄想に由来する難癖つけられるのにも飽き飽きしたので。


http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20091215/p5
これ↑、出発点からたどり直してみるよ。最初は私の次のエントリ。
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090602/p1
ここ↑で私が批判したのは id:furukatsu の「70年前死んだ中国人のことを本気で思うことは出来ない。よっぽどkanonの方が実感があるんだ。」という発言。で、次のように書いたわけだ。

 法規制は特定の個人の人権が具体的に侵害される場合に限るべきだ、というのは正論ではある。表現による暴力のうち特定の個人への具体的な侵害になっているものとそうでないものとの間に線をひくことには一定の合理性がある。しかしこの合理性は「ここに線をひけば表現による暴力に効果的に対処できる」という性格のものではなく「これより向こう側に線をひけば弊害がある」という事情によるものだから、「法規制に反対するとして、それからどうする?」が問われることになる。この問いを拒絶する法規制反対論には私は与することができない。

自分で言うのもなんだけど、この一文は私の立場を簡潔かつ意を尽くして表現している一方で、id:tari-G にはわからんだろうが現代の政治学や法(哲)学における議論の蓄積に照らして言えば当たり前にすぎることしか言ってない。つまり、この見解に同意するかどうかは別として、このような見解がそれなりに擁護可能なものであることがわからないならそりゃあんたのトレーニングが足りないんだから、勉強してからで直せ、ってこと。被害妄想でガチガチに縛られている人以外には言うまでもないことだが、上の引用において私は「特定の個人への具体的な侵害になっていない表現を法規制すべきでない」という主張一般を批判しているのではなく、「法規制に反対するとして、それからどうする?」という問いを拒否する者を批判しているにすぎない。
これに対して、id:NaokiTakahashi が次のようにコメントしてきたのがことの始まり。

furukatsuさんの言い方はなるほどまずいかもしれないけど。
さすがに、俺も自分の仕事と南京問題なら正直自分の仕事のほうが大事に思えるんですが。
個人レベルでの思いの深さ、真剣さを問題にすることは必要なんでしょうか?
歴史認識の話なら、認識が正しいかどうかだけを問題にしておけばいいような気がするんですが。
>uchya_xさん
確かに俺はポルノの作り手ですがね、個人のレベルでそんな道義的責任を追及されるのは、さすがに不当に思えます。お金や手間の問題じゃありません。何か俺個人が罪に対する罰を受けているような意味合いに感じられるからです。
ポルノの存在が社会意識に影響していく、みたいな間接的な話なんだから、負担を求めるにしても、せめて業界全体からの寄付や税といったような間接的な形で実現するのが筋では。
(業界がそういう負担を求められる法的根拠があるかは微妙だし、道義的にも議論の余地はあるだろうけど、求めるにしてもせめてそうしてくれってこと。俺達個人の自尊心に対して、そのくらいの配慮はしていいんじゃないかな?)
(http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090602/p1#c1244179668)

このコメントは二重の意味でおかしい。まず第一に、『kanon』は furukatsu の「仕事」じゃないだろ、と。第二に(こちらの方が重要だが)私が要求しているのは「自分の仕事なり主たる関心事をほったらかしにしてでも南京事件(あるいはそれに相当するトピック)にコミットせよ」ということではなく、単に「言う必要のないことを言って、リアルな世界の戦争犯罪被害者を誹謗するな」ということにすぎないだろ、と。こちらとしては furukatsu がエロゲを擁護する一方で南京事件についてはだんまりを決め込んでいたとしても、別に文句を言うつもりはなかったわけで。なのに、誰に頼まれたわけでもないのに、ことさら「よっぽどkanonの方が実感があるんだ」なんてこと抜かすから腹立てたわけで。そんな理屈が通るなら、「kanon? それなに?」な人間が二次元エロコンテンツの自由にあえてコミットする理由なんてなくなっちゃうじゃん。
という具合に、私が別に「仕事をなげうってでも○○にコミットせよ」と主張したわけでもないのに「○○に比べれば自分の仕事が大事」と絡んできたのが id:NaokiTakahashi である、という点はしっかりと記憶していただきたい。
この「仕事」云々に対する私の次のようなコメントがよほど気に入らなかったらしい。

>さすがに、俺も自分の仕事と南京問題なら正直自分の仕事のほうが大事に思えるんですが。


ああ、そうですか。だったらそれはもはや「言論の自由」の問題ではないですね。いやもちろん、稼ぎ口の問題が言論の自由と比べて重要じゃない、ってことじゃありませんよ。しかし問題が違えば解決策も違いますからね。稼ぎが問題なら非凌辱系コンテンツ、さらには非エロ系コンテンツ制作へ路線変更する業者・制作者への助成などが例えば解決策たりうるわけです。「日本のコンテンツ産業をさらに発展させていくにも、こうしたゲームで信頼を損ねてはいけない」などと発言している山谷えり子なんかもそういう解決策なら関心をもつかもしれませんね。


>個人レベルでの思いの深さ、真剣さを問題にすることは必要なんでしょうか?


沈黙していることと「本気で思うことは出来ない」と公言することの間には相当な距離があります。


>俺達個人の自尊心に対して、そのくらいの配慮はしていいんじゃないかな?


このエントリでは id:furukatsu氏が他者の「自尊心」を公然と踏みにじったことを問題にしているんですが?

これに対して“俺の自尊心を金に還元した!”みたいな吹きあがり方をしてるわけだけど、ろくに文脈を説明しないまま勝手に「仕事」って論点持ち込んだのはそっちだからね。だいたい、「自尊心」を主題にするならなによりも責められるべきは furukatsu の放言であるべきであって、それを庇い立てしたあげくに自分の自尊心だけを守ってくれというのはご都合主義もいいところ。だって、「自分の仕事と南京問題なら正直自分の仕事のほうが大事」ってのは、どう考えても「表現の自由」の問題として考えれば筋悪でしょ? エロゲ制作者の「自尊心」と南京事件の被害者および生存者の「自尊心」を比べたら前者の方が重い、と言いたいわけ? あんたがそう思うことを許容したとしても、社会全体までがそう思うべきだ、なんてことは到底言えんでしょうが。各人の「自尊心」を等しく尊重するなら、最初に他者の自尊心を踏みにじった者が批判されてしかるべきなんであって。


以上が前提。とりあえずここで筆を置いておく。文句があるなら言ってこい。