「インテリジェント・デザイン」続報


ドーキンスがどこかで「インテリジェント・デザイン」説に言及していたはずだと思って本棚をあさってみると、『悪魔に仕える牧師』(早川書房)にその言及があった。改めて紹介するまでもなく、インテリジェント・デザインは創造説のヴァリエーションに他ならないと断じられている。そのことは私にとっても自明であるので当該の箇所もさらっと読み流していたのだが、改めて読み直してみると面白い発見があった。
問題の産経の記事において渡辺久義自身が紹介しているID学会(自称)のホームページ、http://www.dcsociety.org において「ID主導者の一人」とされているジョナサン・ウェルズがIDの道に進んだ経緯を記した文章の URL が記載されていたのだ(『悪魔に仕える牧師』、392頁)。こちらをご覧ください。
あちこちに "God" という単語がちりばめられている。そして、URLをみれば(http://www.tparents.org/Library/Unification/Talks/Wells/Darwin.htm)そのなかの "Unification" という単語から分かる人にはすぐ分かることだが、これはまごうかたなき統一協会系のウェッブサイトなのである(トップページをご覧ください)。くだんの文章中には "I was admitted to the second entering class at Unification Theological Seminary" などという一節もあって、このジョナサン・ウェルズなる人物が統一協会の信者(ないしシンパ。追記)であることは明白である。
また、1995年に行なわれたハン・ハクチャ(韓鶴子:文鮮明の妻)の講演記録ではいまだ進化論/創造説というタームが用いられていることが分かる。要するに、「インテリジェント・デザイン」説は政教分離規定をすり抜けるための方便に過ぎないわけである。


ついでに言うと、渡辺久義統一協会が『世界日報』を介してばっちりつながっていることは
http://www.worldtimes.co.jp/itenews/word/word.html
http://www.unification.net/japanese/
の二つを照らし合わせることにより明らかになる。


成城トランスカレッジ!」の seijotcp さんは、別の角度からインテリジェント・デザイン統一協会のつながりを示しておられる(http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20051004/p1)ので、ぜひご一読いただきたい。seijotcp さんは「個人的にはこの手の議論に「陰謀論」的に触れることは本当にためらわれる」と但し書きをつけておられて、私もまた一般論としてはまったく異論はない。ただし、インテリジェント・デザイン統一協会に関する限り、両者の人脈的、イデオロギー的つながりは明白であって疑問の余地はない。統一協会についてはインテリジェント・デザインとのつながりを隠していないのだから、その意味では確かに「陰謀」ではない。しかしながら、『世界日報』のサポーターたる高橋久義に「キリスト教右派だとか宗教勢力の画策などというのは、そういうふうに見たがる人の言うことです」と語らせてそれをそのまま鵜呑みにしている産經新聞の記事について言えば、陰謀ないし悪質なプロパガンダと断じられても文句は言えまい。


なお余談だが、"Inteligent Design" でググってみるとこんなのもみつかった。
http://www.rael.org/rael_content/index.php?elan=English
ラエリアンですよ! ま、わざわざ読んでみる気もしないのでキリスト教右派系のそれと同じものかどうかは分からないが。