与党には問われて然るべきこと


今日の夕方に自民党が“マニフェスト”を発表し、来る衆院選の争点(らしき)ものが明らかにされました。ずっと野党だった政党に対して「本当に実現できるのか?」という疑念を抱く人も少なくないと思いますが、そういう人びとには与党、それも戦後のほとんどの期間与党だった政党のマニフェストに対して「なんでいままでやってこなかったんだよ?」という視点ももっていただきたいものです。
というのも、自民党マニフェストなるものには「返済義務のない奨学金制度の創設」が含まれているそうなのですが(例えばこの報道参照)、同じ日の朝日新聞朝刊は次のように伝えているからです。

年収200万円未満の家庭の高校生の4年制大学進学率は3割に満たず、一方で1200万円以上の家庭では倍以上の6割強に――。東京大学の大学経営・政策研究センターが調査したところ、保護者の収入が多くなるほど右肩上がりに大学進学率が高くなることが確認された。国公立大では所得による差はあまりないが、私立大への進学で大きな差がついていた。


 子どもの受ける教育や進学率が、親の所得差によって影響され、「教育格差」につながっているとして社会問題化している。調査は、こうした実態を探るためで、05年度に全国の高校3年生約4千人を抽出して3年間追跡した。保護者から聞き取った年収を200万円未満から1200万円以上まで七つに区分し、進路との関係をみた。


 それによると、最も低い200万円未満の層の4年制大学への進学率は28.2%。600万円以上800万円未満は49.4%、800万円以上1千万円未満は54.8%、1200万円以上だと62.8%に至った。
(後略)

宅配される大阪本社版では一面で「大学進学 際立つ格差」という見出しの記事として掲載されていました。
単なるローンを「奨学金」と言いくるめ続け、「私学にあわせる」という没論理で(旧)国公立大学の学費をあげ続けた結果*1がこういう事態であるわけです。今になって「返済義務のない奨学金制度の創設」などと抜かすのなら、これまでネグってきた責任をどうとるのか、万年与党らしくきちんと表明してもらいたいものです。

*1:もちろん他にも要因はありますが。