2023-05-16 『蚕の王』 自白の研究 火曜日 -安東能明『蚕の王』中央公論新社、2021年 戦後まもない1955年に静岡県で起きた二俣事件を題材とした小説。名前こそ仮名になっているが「昭和の拷問王」も登場する。冤罪被害者の雪冤に尽力したとして清瀬一郎がかなり美化されている点はかなり鼻白むものもあるが(占領期に旧植民地出世員者から選挙権を剥奪すべく活動した政治家の1人が清瀬)、冤罪被害者の視点を重視すればそういう描写になってしまうのはやむを得ないのだろうか。